2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規エノン型プロスタグランジン分子プローブの創製と活用
Project/Area Number |
14550824
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
古田 享史 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40173538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 真 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40217774)
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Keywords | プロスタグランジン / NEPP11 / 神経保護作用 / 陽電子放射断層画像撮影法 / 動態解析 / PETトレーサー |
Research Abstract |
本研究者らは、交差共役ジエノン構造を持つプロスタグランジン(PG)類が神経成長因子により誘導される神経突起伸展作用を顕著に増強すること、また、酸化ストレスによる神経細胞死を阻害することを発見した。さらに、本作用における構造活性相関研究から、高活性で毒性の低い化合物NEPP11を創製することにも成功した。NEPP11の示す神経保護作用は、マウス脳虚血モデルに対しても投与濃度依存的に有効であることがわかった。そこでin vivo脳機能研究に向けて、陽電子放射断層画像撮影法(PET)によるNEPP11の動態解析を行うため、PETトレーサー化を検討した。PGの神経保護作用は膜受容体を介するものでなく、細胞内への移行と標的タンパク質との結合を介する遺伝子群の転写、タンパク質発現という一連のプロセスを経るものと考えられる。従って、活性発現時のPGの動態を解析するにはある程度の時間がかかるものと予想し、PGに組み込むポジトロン放射核として寿命の長い^<76>Brを選択した。構造活性相関研究から、ω側鎖への疎水性基の導入は活性を低下させないことがわかっており、また、NEPP11はω側鎖にスズとの交換反応でブロモ基が導入可能なベンゼン環を持つことから、ブロモ基をベンゼン環に組み込んだ誘導体を設計した。まず、設計した化合物がNEPP11と同等の活性を示すか確認するため、放射核非標識体の合成を行った。三成分連結PG合成法によるω側鎖アルコール体の合成と、酸化-Wittig反応の組み合わせで目的の化合物を合成することに成功した。また、ポジトロン核導入の前駆体となるスズ化合物の合成とコールド条件でのブロモ基の導入反応も確立した。合成した化合物はNEPP11と同様、強い神経保護作用を示したことから、今後^<76>Brを用いたPETトレーサー合成を行う予定である。
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Research Products
(1 results)