2003 Fiscal Year Annual Research Report
大環状化合物をモノマーとした有機分子および金属イオン同時捕捉分離材料の開発
Project/Area Number |
14550834
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中本 義章 金沢大学, 工学部, 教授 (20019772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 忠明 金沢大学, 工学部, 助教授 (90220251)
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Keywords | 環状オリゴマー / カリックスアレーン / レゾルシンアレーン / ポリマー化 / 環状骨格の凝集状態 / イオノホア / Cage構造 |
Research Abstract |
フェノールの環状オリゴマー,カリックスアレーンは,シクロデキストリンやクラウンエーテルにつぐ環状化合物としてホスト-ゲストに関する研究が行われている。従来,これら環状化合物は単体としてその機能性について研究が行われてきた。ここでは,反応性カリックスアレーンを合成し,これをポリマー化して環状骨格を凝集させ,その機能性を評価する研究を行った。まず,ヒドロキシカリックス[6]アレーンHQ[6]を用いてポリマー化を行い,単量体とのイオン捕捉能を比較したところ,このポリマーはアルカリ金属イオンに対して優れたイオン捕捉能を示した。これは,少なくとも2種類のイオン捕捉部位をもつと考えられ,1つは,HQ[6]が分子内に有する空孔であり,もう1つは,分子鎖に沿ってカリックスアレーン骨格が凝集することで形成されるイオン捕捉部位である。後者の捕捉能力は,ポリマーの合成条件によって凝集状態を変化させることで制御することが可能であった。 次に,反応性カリックスアレーンとして,カリックス[4]レゾルシンアレーンRS[4]を用いてポリマー化を行ったところ,ポリマー分子内に反応溶媒分子を取り込むことが可能となった。これは,RS[4]の環状骨格を密に凝集させることで"Cage"に似た空間が形成され,そこに溶媒分子が取り込まれたと考えられた。この"Cage"はベンゼン環に囲まれているためπ電子が充満している特殊な空間と考えられる。そこで次なる目的として,この空間を新しい反応容器に見立て,ナノサイズリアクターとして機能させることについて研究を継続する予定である。
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