2002 Fiscal Year Annual Research Report
モノマーの自己組織化を利用した構造制御高分子の構造と機能に関する研究
Project/Area Number |
14550851
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉田 博久 東京都立大学, 工学研究科, 助教授 (20094287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 直 東京都立大学, 工学研究科, 教授 (30142003)
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Keywords | イオンセンサー / 自己組織化 / 構造制御高分子 / 二分子膜 / 異方性高分子 / 相転移 |
Research Abstract |
炭素数10から18のアルキル鎖を2ないし3本持つ長鎖アルキルアンモニウム塩のスチレン誘導体を自己組織化モノマーとして合成した。モノマーは種々の疎水性表面の固体基盤上に展開すると二分子膜を基本単位とする自己組織化構造を形成することが、熱測定ならびにX線回折により明らかになった。自己組織化したモノマーに低エネルギー電子線あるいはX線を照射すると重合反応が進行し、フィルム状の高分子を得た。得られた高分子の構造をX線回折で調べたところ、モノマーの自己組織化構造である二分子膜構造がフィルムの厚さ方向に観察され、高度に構造制御された構造異方性高分子であることが判った。 モノマーの自己組織化構造を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、二分子膜構造が暗視野像に観察された。電子線回折像から、3本のアルキル鎖が六方晶配列しその重心に窒素原子が配列した分子配置が推定された。この分子配列は二分子膜の原子像と良く一致していることから、固体基盤上でも同様の自己組織化構造を取ると考えられる。さらに原子像から、窒素原子間の中間にカウンターイオンである塩素原子が位置し、窒素原子と塩素原子の配列が層状に並んでいる様子が観察できた。このような自己組織化構造をとる場合、芳香環は隣り合う環の電子雲の反発から窒素原子上で互い違いに配列していると予想される。この二分子膜配列では、アルキル鎖の自由回転が起こると芳香環のわずかな回転で重合部位である不飽和二重結合同士が近接することができる。 得られた構造制御高分子をイオンセンサーとしての性能を測定したところ、理論値の98%の高感度を実現した。
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