Research Abstract |
過去同様,(1)誘導制御方式の理論的研究とシミュレーション,(2)並列DSPボードによるリアルタイムシミュレーション,の2点に分けて実施された. (1)最適誘導制御則の研究 昨年度までは,制御対象の運動方程式を線形系と考えて「ジャーク最小最適誘導則」を導き,シミュレーションを行ってきたが,その成果を本年度の第24回ISTS国際会議で発表すると共に,航空宇宙学会に投稿した. さらに本年度は,新たに制御対象を非線形運動と厳密化し,この非線形運動方程式に対して「厳密な線形化」理論とジャーク最小最適誘導則を併用した新しい誘導方式を開発し,シミュレーション結果と共に日本航空宇宙学会北部支部講演会にて発表した.この際,シミュレーション用再使用型ロケットモデルとして,本年度は新たに独自のモデルロケットをCFD上に構築し,揚力係数CL,抗力係数CD,揚力係数CM等を推定し,これらのデータに基づいてシミュレーションを実施した. (2)並列DSPボードによるリアルタイムシミュレーション リアルタイムシミュレーションを再度実施し,有限語調問題,離散化による極限零点問題演算時間遅れ,タイム・ツー・ゴー(time-to-go)解,センサー特性,計測ノイズ,などに対する影響を調べた.特に,極限零点問題に関しては解析法が進展し,サンプリング周波数との関係を明確にすることが出来た. さらに,従来は不完全であったタイム・ツー・ゴーに関する6次代数方程式の実数解から,最適なタイム・ツー・ゴー解を抽出する過程について条件を見直した結果,精度の良いシミュレーションが可能となった.最後に,計測ノイズについて,実際のセンサー仕様を考慮に入れたシミュレーションを実施した結果,ダウンレンジ方向の精度を劣化させると,終端で最大12mの誤差を観測したが,燃料消費に対する影響は少なかった.
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