2004 Fiscal Year Annual Research Report
タイから導入されたサヤダイコンの低温発芽性要因の解析
Project/Area Number |
14560007
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
野村 和成 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (90139048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池橋 宏 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50193222)
宍戸 理恵子 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (90307819)
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Keywords | Raphanus sativus / 低温発芽性 / 種子休眠 / アブシジン酸 |
Research Abstract |
タイ北部から導入されたサヤダイコン‘パッキフッド'は低温発芽性,花芽分化に対する低温非要求性という他のダイコン品種にはない特徴をもつ.低温下での発芽能の有無は種子成熟過程におけるABA生合成との関連が考えられる.種子成熟過程における種子水分含量,葉の葉緑素含量,NCED遺伝子発現量ならびにABA量の推移について測定し,低温発芽能獲得との関連について検討した. 開花30日後の種子水分含量は両品種とも約80%であった.パッキフッドではその後は低下し続け,60日後に9%,聖護院では50〜60日後に停滞がみられ70日に9%にまで低下した.分岐枝基部の葉の葉緑素含量変化をSPAD値により測定した.分岐枝基部の花の開花20日後まではほぼ一定の値を保った.パッキフッドではその後急激に低下し,45日後には緑色は完全に失われた.聖護院では徐々に低下し,45日後でもわずかに緑色が保持された.ABA合成の律速酵素NCED遺伝子の種子成熟期間における発現をRT-PCRによって検出した.パッキフッドは開花直後から40日後まで,聖護院では60日後まで発現が認められ,その後は発現がみられなかった. イムノアッセーにより開花後各時期の種子中のABA量を測定した.両品種とも開花直後極めて多量のABAが認められ,30日後まで急激に減少した後,パッキフッドでは40日後,聖護院では60日後に増加のピークが認められた.開花10日後から80日後まで10日ごとに種子を採取し,25ならびに3℃におけるシャーレー湿室内での発芽率を調査した.パッキフッドでは,25℃において,開花30日後の種子でわずかに発芽が認められ,発芽率は徐々に上昇し,80日後に80%以上の発芽率となった.3℃においては,80日後まで高い発芽率を示さなかった.一方,聖護院では,25℃において開花30日後から高い発芽率を示した. 以上の結果から,ダイコン種子内のABA量は種子の乾燥とともに増加し,その後の減少と葉の黄化の進展とには密接な関連が認められるが,発芽能の獲得ならびにパッキフッドの低温発芽能の獲得はABA量の変化では説明できないことが示された.
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