2002 Fiscal Year Annual Research Report
気孔と土壌水分変化からみたイネの干ばつ抵抗性の品種・施肥間差異の定量的評価
Project/Area Number |
14560010
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
藤井 道彦 静岡大学, 教育学部, 助教授 (50228962)
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Keywords | 干ばつ抵抗性 / イネ / 品種 / 堆肥 / 施肥レベル / 葉温 / 気孔 / 土壌水分計測 |
Research Abstract |
本研究は、水ストレスがイネの生育に及ぼす影響を、葉温を用いた作物水ストレス指数・気孔抵抗・土壌水分環境の非破壊計測から定量的に評価し、干ばつ抵抗性の品種間差異ならびに施肥間差異を定量的に明らかにすることを目的としている。圃場に干ばつ抵抗性の異なるイネ3品種を栽培し、ビニルハウス内で灌水を停止することにより水ストレス処理を与えた。水ストレス条件に適応した施肥法の確立のために、各品種について、堆肥施用量ならびに施肥レベルを組み合わせた区を設け、深さ別土壌水分変化・葉温を用いた作物水ストレス指数・気孔抵抗の非破壊計測を行った。土壌乾燥条件下における深さ別土壌水分含量には、品種ならびに堆肥施用・施肥レベルにより差がみられ、干ばつ抵抗性の低い品種では土壌水分含量が高く、干ばつ抵抗性の高い品種では土壌水分含量が低い傾向がみられた。また、土壌水分含量の品種間差異は、堆肥の施用量によっても異なる傾向がみられた。品種ならびに堆肥施用量・施肥レベルによる深さ別土壌水分含量の差は、水分吸収特性の差によるものと考えられ、高い乾物生産を示した条件では、乾燥条件下においても土壌深層からの水分吸収が高い傾向が認められた。また、TDR土壌水分計測と、肥料の影響が少ないとされる誘電性土壌水分計測のいずれにおいても、土壌水分含量との間には、すべての区を込みにして密接な関係が認められ、堆肥施用量や施肥レベルの影響はみられなかった。葉温ならびに作物水ストレス指数は堆肥の施用により低下し、堆肥と少肥を組み合わせた条件では、さらに大きく低下した。これは、堆肥・少肥条件では、乾燥条件下においても土壌深層からの水分吸収を保って気孔抵抗を小さく維持し、蒸散を保つことによると考えられる。以上より、地上部と地下部の両面からみて、堆肥・少肥条件では水ストレスを軽減することで、乾燥条件下でも乾物生産を維持できるものと考えられた。
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