2002 Fiscal Year Annual Research Report
スカシユリ花弁におけるアントシアニン色素の発色パターンを制御する遺伝子の同定
Project/Area Number |
14560022
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中務 明 島根大学, 生物資源科学部, 講師 (40304258)
|
Keywords | アントシアニン / スカシユリ / 調節遺伝子 |
Research Abstract |
スカシユリ花弁のアントシアニン発色の制御機構を明らかにすると共に、この形質の品種間差異の原因となっている遺伝子を特定することを目的として本実験を行った。 第一に、着色した'モントレー'花弁からアントシアニン生合成経路の制御遺伝子の1つであるbHLH(Myc)遺伝子を単離した。Hot borate法を用いてRNA抽出を行い、cDNAを合成後アントシアニン生合成に関連する他の植物種のbHLHで保存されている領域から縮重プライマーを設計してRT-PCRを行い、bHLHの遺伝子断片(470bp)を得た。RACE-PCRを併せて行い、全塩基配列を決定すると2種のbHLH遺伝子(LhbHLH1;2483bp, LhbHLH2;2406bp)が得られた。これらの遺伝子配列はアントシアニン生合成経路を調節するbHLHと高い相同性を示した。 第二に、花弁にアントシアニンを生成する'モントレー'と生成しない'コネチカット・キング'を用いてLhbHLH1とLhbHLH2遺伝子の発現解析をRT-PCRで行った。2種のbHLH遺伝子は品種間による差はなかったが、遺伝子間では発現パターンが大きく異なっていた。LhbHLH1は若いステージの花弁や葉・茎で強く、遅いステージの花弁や球根では弱いシグナルであった。LhbHLH2は花弁ではステージが進むにつれてシグナルが強くなった。葉・茎・光でアントシアニン発色を誘導した球根でもシグナルが認められたが、暗黒下の球根ではシグナルがなかった。これらのことよりLhbHLH2は光誘導であると考えられた。しかしながら2種のbHLH遺伝子の転写量の変化はアントシアニン合成の変化と一致しておらず、他の主要な調節要因があると考えられた。
|