2003 Fiscal Year Annual Research Report
天敵誘引物質(シノモン)と連合学習を利用した生物的防除
Project/Area Number |
14560034
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
戒能 洋一 筑波大学, 農林学系, 助教授 (20183775)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高林 純示 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (10197197)
大澤 良 筑波大学, 農林学系, 助教授 (80211788)
本田 洋 筑波大学, 農林学系, 助教授 (90126160)
|
Keywords | 寄生蜂 / 寄生バエ / シノモン / 風洞 / 飛翔行動 / モデル / 視覚刺激 |
Research Abstract |
(1)アワヨトウの食害を受けたトウモロコシに対するカリヤコマユバチの飛翔行動 アワヨトウの若齢幼虫の加害を受けたトウモロコシに対するカリヤコマユバチの行動は、風洞を用いた実験から確かめられてきた。その行動内容は、飛び立ち、飛翔、ホバーリング、葉への着地、葉上の探索行動、からなることがわかった。 (2)加害を受けたトウモロコシの葉の位置と誘引性 トウモロコシの葉は、古い葉が下の位置に、新しい葉が上位に位置し、古い葉は面積が広く組織は堅い、上位の葉は小さく組織が柔らかい。この両者をアワヨトウが食害した場合に、どちらに誘引されやすいかを比較した。風洞内で、それぞれの加害葉の水差しを10cm間隔で置き、15cm風下からカリヤコマユバチの雌を放して、どちらを選択するかを調べた。その結果、若い葉は面積が小さいにもかかわらず、古い葉と比べより雌蜂を誘引した。このことは、植物体にとって重要な若い葉が天敵をより誘引して、加害するアワヨトウから身を守る潜在的能力に優れていると考えられる。 (3)アワヨトウの食害を受けたトウモロコシに対するブランコヤドリバエの行動 アワヨトウ幼虫の加害を受けたトウモロコシに対するブランコヤドリバエ雌成虫の行動は、飛び立ち、飛翔、葉または壁への着地、再飛翔、再着地を繰り返す。最終的に寄主糞などの手がかりを得た成虫は、寄主付近で歩行による探索を始め、寄主幼虫の至近距離で視覚的に定位すると徐々に接近し、脚部での探索の後、産卵を開始することがわかった。 (4)ブランコヤドリバエの寄主発見における視覚的刺激効果検定法の確立 ブランコヤドリバエの雌成虫がアワヨトウ終齢幼虫に接近した後、視覚的に認識することはモデルを用いた実験から調べられていたが、動きに対する反応を定量的に調べた実験はなかった。円筒形の容器の中で雌バエに回転するモデルを提示することで行動を追跡する検定法を確立した。
|