2002 Fiscal Year Annual Research Report
農生態系の土着天敵を活用したハモグリバエ類の生物的防除
Project/Area Number |
14560041
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大野 和朗 宮崎大学, 農学部, 助教授 (10203879)
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Keywords | 天敵 / 生物的防除 / 環境保全型農業 / マメハモグリバエ / ナモギリバエ / エンドウ / 地域資源 |
Research Abstract |
地域資源として農生態系に生息するハモグリバエ類の天敵相を南九州で調査し、62ヶ所約10,000頭のサンプルについて標本を作製し、同定した。その結果、21種の寄生蜂がナモグリバエの天敵として確認できた。露地に植えたエンドウ葉は3月末にはほぼ全葉がナモグリバエの幼虫による加害を受け、さらに幼虫のほとんどが寄生蜂に寄生されていることが判明した。また、このエンドウ被害葉からは主に5種の寄生蜂が優占的に羽化することを明らかにした。このうち、最優占種のひとつであるプビコルニス蜂は夏の高温、長日条件下で休眠すること、休眠解除には秋から春の低温、短日条件が重要であることを室内実験で明らかにした。この蜂はナモグリバエには高い適応性を有するが、休眠特性のため侵入害虫のマメハモグリバエやトマトハモグリバエの生物的防除資材としては限界があると考えられる。なお、初年度はさらに予備的であるが、エンドウ被害葉をトマトおよびナス農家14軒のハウス内に設置し、エンドウから羽化する土着天敵がマメハモグリバエやトマトハモグリバエに対して防除効果を有することを確認できた。農家に対するアンケート結果によると、半数の農家が効果高いと評価し、また残りの農家については天敵に影響を及ぼす農薬散布などが原因で失敗したと推測された。農家圃場での天敵放飼実験は、今春から夏に地域農家60軒の協力を得てさらに大規模に実施する予定である。また、現在、エンドウの生育パターンと天敵発生の関連について野外での継続調査を実施しており、今年の成果を踏まえて、来年総合的なとりまとめを実施する予定である。
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