2002 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫脱皮ホルモン生合成に関わるチトクロムP450の特定と発現機構の解明
Project/Area Number |
14560046
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
冨田 隆史 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (20180169)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛西 真治 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 研究員 (80332360)
|
Keywords | エクダイソン / CYP302Al / CYP315Al / CYP312Al / チトクロムP450 / 脱皮ホルモン / キイロショウジョウバエ / ゲノム |
Research Abstract |
エクジステロイド合成系に関与するチトクロムP450の同定を目的とし、cDNAアレイ法を用いてキイロショウジョウバエの全チトクロムP450遺伝子の発現解析を行った。まずはショウジョウバエから全てのP450遺伝子を単離するためにゲノムプロジェクトで得られた遺伝子情報をもとに特異的プライマーをデザインし、ショウジョウバエのcDNAを鋳型としてRT-PCRを行った。増幅された産物をクローニングし、挿入遺伝子の配列を確認後、再び90種類の挿入遺伝子をPCRによって増幅、精製しナイロンメンブレン上にスポッティングした。一般に昆虫の雌成虫体内では、卵巣発育のためにエクジステロイドが分泌される。したがって、作製したcDNAアレイを用いて、成虫におけるP450の遺伝子発現を雌雄間で比較した。その結果、15種類のP450が選抜されたため、リアルタイムPCR法による検証を行った。すでにエクダイソン合成系に関与していることが明らかにされているCyp302alやCyp315alの遺伝子が雌成虫体内で約20倍多く発現していることが明らかになった一方で、これとは逆に、Cyp312alは、雄成虫で数十倍多く発現していることが明らかになった。Cyp312al遺伝子の多くは腹部で発現していることから、この酵素は雄生殖器管内で働いている可能性が示唆された。また、この遺伝子発現は蛹期より徐々に増大し成虫5日目でピークに達することも明らかになった。Cyp312alの雄特異的発現は米国、中国、日本産のキイロショウジョウバエのいずれにおいても同様に確認されたことから、生体維持の上で重要な機能を担っている可能性が示唆された。今後、殺虫剤作用点としての発展が期待される。
|
Research Products
(1 results)