2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14560047
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 雅信 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (60221082)
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Keywords | 遺伝子重複 / カイコ / アルカリ性フォスファターゼ / 転移因子 / トランスポゾン |
Research Abstract |
カイコゲノム中でクラスターを形成する2つのアルカリ性フォスファターゼ遺伝子(Alp-mとAlp-s)は、共通遺伝子の重複によって生じたと考えられる。このクラスター形成とその後の分化過程を推定するため、近縁鱗翅目昆虫(クワコ、テンサン、サクサン、ウスタビガ)のAlp遺伝子の構造を調査した。PCR法による解析から、クワコゲノムにカイコと同様のAlpクラスター構造が存在することが明らかになった。Alp遺伝子の重複は、カイコ-クワコの種分化に先立って起こったことが示された。 さらに、クワコのAlp遺伝子クラスターをクローニングし、その構造を決定した。その結果、クワコのAlp遺伝子クラスター内の両遺伝子の転写方向は同じ(上流からAlp-m、Alp-sの順)で、ともに5つのエクソンに分断されていた。カイコとクワコの間では、Alp遺伝子クラスターの構造は極めてよく保存されていることが示された。両遺伝子の介在配列には共通のトランスポゾン様配列が認められ、Alp遺伝子の重複現象に何らかのトランスポゾンの関与がうかがわれる。 そこで、キイロショウジョウバエを用いて、ゲノム遺伝子とトランスポゾンの関連を調査した。自然集団におけるトランスポゾン伝播と、不活性化の過程を示した。トランスポゾンの転移制御は、ゲノム中の因子組成のみで決定されておらず、ホスト遺伝子との相互作用の重要性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Itoh, M., Boussy, I.A.: "Full-size P and KP elements predominate in wild drosophila melanogaster"Genes Genet.Syst.. 77. 259-267 (2002)
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[Publications] Itoh, M.et al.(他4名): "Tandem duplication of alkaline phosphatase genes and polymorphism in the intergenic sequence in Bombyx mori"Mol.Gen.Genomics. 270. 114-120 (2003)
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[Publications] Boussy, I.A., Itoh, M: "Wanderings of hobo, a transposon in Drosophila melanogaster and its close relatives"Genetica. 120. 125-136 (2004)
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[Publications] Itoh, M.et al.(他5名): "Phenotypic stability of the P-M system in wild populations of Drosophila melanogaster"Genes Genet.Syst.. (in press).