2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物ホルモン,ジベレリンによる植物培養細胞の細胞周期調節機構の解明
Project/Area Number |
14560056
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
三橋 渉 山形大学, 農学部, 助教授 (50192761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊増 知伸 山形大学, 農学部, 助教授 (60272085)
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Keywords | ニンジン / 培養細胞 / 細胞周期 / RT-PCR |
Research Abstract |
本年度は主に1)ニンジン培養細胞を用いた細胞分裂同調系の作成,と,2)細胞周期マーカー遺伝子の単離,の2点について研究を行った.材料にはDaucus carota L. cv. US-Harumakigosunを用い,1)では培養細胞として体細胞形成能をもつembryogenic cell(EC)とその能力を欠如したnon-embryogenic cell(NC)の2系統を用い,同調系はDNA合成阻害剤であるアフィディコリンまたはハイドロキシウレアを一定時間処理後に洗浄除去することで行った.その結果,アフオディコリンでは薬剤の洗浄除去がうまく行かず,除去後,細胞増殖は60時間以上観察されなかった.NCをハイドロキシウレア処理した場合も薬剤除去に若干の問題があり,洗浄除去後,DNAの合成開始まで約24時間のラグが観察された。しかし,同系で最終的な分裂指数(Mitotic Index, MI)をみたところ約20%の高い値が得られた.過去,タバコ培養細胞でMI約30%の高度同調化が成功している.この数値と比較する限りでは,ニンジン培養細胞においても薬剤除去法を工夫することによって同程度の同調系を確立できるものと期待された.次に,2)細胞周期マーカー遺伝子の単離,は酵母で解明された各細胞周期マーカーのニンジン・ホモログを単離する事とし,これら遺伝子において生物種を越えて高度に保存されたアミノ酸配列を参考にプライマーを設計し,培養細胞および幼植物体から調製したcDNAを鋳型としRT-PCRを行った.その結果,G1期マーカーとしてCyclin Dホモログを,S期マーカーとしてPCNA(Proliferating Cell Nuclear Antigen)ホモログを,そしてG2期マーカーとしてCyclin Bホモログをそれぞれ単離することに成功した.また,これらの幾つかについては全長cDNAの単離にも成功した.
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