2003 Fiscal Year Annual Research Report
Sphingomonas属細菌の細胞表層機能と合成高分子の分解
Project/Area Number |
14560068
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河合 富佐子 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (60118007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 明生 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (00335621)
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Keywords | Sphingomonas属細菌 / 合成高分子 / ポリエチレングリコール / ポリビニルアルコール / 高分子認識 / 転写調節因子 / 転写開始点 / 細胞内取り込み |
Research Abstract |
Sphingomonas族細菌は強力な分解能と真核細胞様細胞膜組成が注目され、将来のバイオレメディエーションにとって重要な存在である。アルギン酸資化菌では,細胞表面にピットが形成され、高分子が細胞質に取り込まれて分解されると考えられている。我々が研究対象としているポリエチレングリコール(PEG)資化性菌ではこのような構造は全く観察されなかったが、PEG培地では栄養培地と比べて細胞膜組成や表面構造が変化する。PEG代謝酵素はペリプラズムに存在するので外膜に高分子の輸送機構が存在する。ペリプラズムへのPEGの取込み限界分子量をMALDI-TOFMSで検討した結果、培地に加えた分子量分布とペリプラズム抽出画分の分子量分布に差が認められなかった。非生育菌体反応でPEG20,000までが分解されることはHPLCで確認した。従って、分子量数万までのPEGは外膜を透過可能である。PEGは本質的には疎水性物質であるので、外膜のsphingolipidと親和性を有し、特別の輸送機構は要しない可能性もある。 一方、PEGが細胞質に取り込まれて、PEG代謝酵素遺伝子の制御を直接的に行うとは考えにくい。そこで、遺伝子制御を解明するためPEG脱水素酵素遺伝子の上流に存在すると推測されたプロモーター領域の転写開始点をプライマーエクステンション法で決定した。この位置からσ因子や転写調節因子の結合領域が推測できるので、転写調節因子結合領域の配列をもちいて、転写調節因子をゲルシフト法やDNA結合タンパク精製キットなどで分離する。さらに転写調節因子と相互作用をするタンパク質をtwo hybrid法などで得る。このタンパク質が細胞表層で、PEGのレセプターになっていると推測している。 新たにポリビニルアルコール(PVA)資化性菌からPVA脱水素酵素および酸化PVA加水分解酵素をクローン化した。これらは構成酵素であるが、PVA培地で生育させた場合にのみ細胞表層にピット様の窪みが形成された。PVA代謝酵素はいずれもペリプラズム酵素であり、PVAをペリプラズム画分から回収したので、PVAも外膜を透過していると推測されたが、ピット様構造の形成との関連は今後の課題である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S.Tachibana, F.Kawai, M.Yasuda: "Heterogeneity of dehydrogenases of Stenotrophomonas maltophilia showing dye-linked activity with polypropylene glycols"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 66. 737-742 (2002)
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[Publications] F.Kawai: "Microbial degradation of polyetherws"Appl.Microbiol.Biotechnol.. 58. 30-38 (2002)
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[Publications] S.Tachibana et al.: "Involvement of a PQQ-containing alcohol dehydrogenase in the degradation of polypropylene glycols by the bacterium Stenotrophomonas maltophilia"FEMS Microbiol.Lett.. 218. 345-349 (2003)
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[Publications] F.Kawai: "Biopolymers.Vol.9 (Eds.A.Steinbuchel and S.Matsumura)"WILEY-BCH, Weinheim, Germany. 32 (2002)
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[Publications] F.Kawai, T.Hayashi: "Biopolymers.Vol.9 (Eds.A.Steinbuchel and S.Matsumura)"WILEY-BCH, Weinheim, Germany. 23 (2002)