2004 Fiscal Year Annual Research Report
粘液細菌を用いた新規な浸透圧に関与する情報伝達及び応答機構の解明
Project/Area Number |
14560072
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
木村 義雄 香川大学, 農学部, 教授 (10243750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹川 薫 香川大学, 農学部, 教授 (50197282)
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Keywords | cAMP / 浸透圧 / PKA / Myxococcus xanthus / ホスホジエステラーゼ |
Research Abstract |
本研究は新規な浸透圧に関与する情報伝達系を粘液細菌の1種であるM.xanthusを用いて解明することを目的としている。前年度までに細胞増殖期、分化時期及び胞子発芽期に機能する2種のレセプター型アデニル酸シクラーゼを明らかにし、cAMPが浸透圧適応において重要な役割を果たしていることを明らかにした。 この菌では原核生物で初めてセリン/スレオニンプロテインキナーゼが報告されたことから、cAMP依存性セリン/スレオニンプロテインキナーゼ(PKA)が存在すると考え、この酵素のうち、調節サブユニットをコードしている遺伝子のクローニングを行なった。その結果、クローニングされた遺伝子がコードしているタンパク質はPKA調節サブユニットの構造的特徴である2つのcAMP結合部位を有していたため、遺伝子破壊株を用いて野生株と表現型を比較した。変異株は高温及び低温培養条件下や浸透圧負荷条件下での増殖において野生株より生育の減少が見られ、ストレス条件下において原核生物では報告されていない新規なcAMPを介した情報伝達系が存在する可能性が示唆された。 また、cAMPを分解することで細胞内cAMP濃度を調節しているとされるホスホジエステラーゼをコードする遺伝子破壊株を作製後、種々の表現型の比較を行なった結果、胞子の発芽時における浸透圧条件下では変異株において発芽が早くなるという結果がみられ、これはレセプター型アデニル酸シクラーゼ変異株の逆の表現型であった。また、高温度培養条件下では生育菌数が野生株に比べ、減少するという結果が得られ、これらの結果からも本菌において浸透圧や温度などのストレス下ではcAMP情報伝達系が重要な役割を果たしていることが推定される。
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Research Products
(3 results)