2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14560074
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
大利 徹 富山県立大学, 工学部, 助教授 (70264679)
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Keywords | diterpene / cyclase / terpentecin / terpentedienol diphosphate / terpentetriene / Streptomyces |
Research Abstract |
既得のテルペンテシン(Tp)生産菌からクローニングした2つのサイクラーゼ遺伝子産物(Cyc1とCyc2)は、geranylgeranyl diphosphate (GGDP)をTpの基本骨格を有するterpentetriene(TTE)へと変換する。両酵素の詳細な環化機構を探るため、両酵素を大腸菌で大量発現・精製した後、in vitroでの解析を行った。その結果、両酵素はhetero dimerを形成せず、Cyc1はmonomerで、Cyc2はdimerで存在することが分かった。また、Cyc1は、GGDPを環化し、TTEの末端に2リン酸を持つ化合物であるterpentedienol diphosphate(TDP)へと変換し、次いで、TDPは、Cyc2によりTTEへと変換されることが分かった。Cyc1が触媒する反応では、真核生物のジテルペンサイクラーゼの場合と同様に、Mg^<2+>要求性(至適濃度1mM)と基質阻害(>50μM)が認められた。本反応の至適pHは6.8(Tris-HC1)であり、至適温度は、25-30度であった。最適条件下でのGGDPに対するKmは、64.2±5.7μMであり、またVmaxは、94.7±6.9U/mgであった。また、TDPからTTEへの変換を触媒するCyc2の酵素学的諸性質についても検討した。本反応にもMg^<2+>が必須であったが(至適濃度1mM)、Mn^<2+>、Fe^<2+>、Co^<2+>でも活性が認められた。至適pHは、6.8であり、至適温度は、50度であった。更に興味深いことに、Cyc2は、GGDPと炭素数が15のfarnesyl diphosphate(FDP)にも直接作用し、各々から、TDPやTTEとは異なる3つのオレフィン化合物の混合物を生成する反応を触媒することも分かった。そこで、Cyc2が触媒するこれら3つの反応の反応速度定数を求めた。その結果、Cyc2のTDP、GGDP、FDPに対するKmは、それぞれ7.6±0.6μM、7.9±0.6μM、61.7±3.0μMであり、炭素数20の基質に対する親和性が高かった。また、TDPに対するVmaxは、GGDPを用いた場合よりも13倍、FDPよりも7倍高かった。Vmax/Km値も、本来の反応が、GGDP、FDPを用いた場合に比べ、それぞれ15倍、58倍高かったことから、本来の反応が反応速度論的に最も効率の良い反応と考えられた。このことは、Tp生産菌の培養液中に、オレフィン化合物が全く認められなかったことからも支持された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Hamano, T.Kuzuyama, N.Itoh, K.Furihata, H.Seto, T.Dairi: "Functional Analysis of Eubacterial Diterpene Cyclases Responsible for Biosynthesis of a Diterpene Antibiotic Terpentecin"J. Biol. Chem.. 277. 37098-37104 (2002)
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[Publications] T.Kuzuyama, S.Takahashi, T.Dairi, H.Seto: "Detection of the mevalonate pathway in Streptomyces species using the 3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A reductase gene"J. Antibiot.. 55. 919-923 (2002)
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[Publications] T.Kawasaki, Y.Hamano, T.Kuzuyama, N.Itoh, H.Seto, T.Dairi: "Interconversion of the Product Specificity of Type I Eubacterial Farnesyl Diphosphate Synthase and Geranylgeranyl Diphosphate Synthase through One Amino Acid Substitution"J. Biochem.. 133. 83-91 (2003)
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[Publications] 大利 徹, 濱野吉十, 伊藤伸哉, 葛山智久, 降旗一夫, 瀬戸治男: "原核生物に見いだされたジテルペンサイクラーゼの機能解析"日本農芸化学会誌. 76. 1191-1194 (2002)