2003 Fiscal Year Annual Research Report
イネグルテリンとプロラミンの分別集積に対するプロテインジスルフィドイソメラーゼの機能の解明
Project/Area Number |
14560077
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
小川 雅広 山口県立大学, 生活科学部, 教授 (10160772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊丸 敏博 九州大学, 農学部, 助教授 (00284555)
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Keywords | イネ / 突然変異体 / 金南風 / esp2 / ジスルフィド結合 / プロテインジスルフィドイソメラーゼ / 分子シャペロン / PDI |
Research Abstract |
(1)60 kDa PDIの全長DNAの解析:イネ登熟種子のcDNAライブラリーから得られたPDIの全長cDNAクローンを解析した結果、開始コドン(ATG)とポリA鎖を含む1858bp、推定アミノ酸残基数は511であることが決定できた。C末端にはER内腔結合アンカー配列としてKDEL、チオレドキシン活性中心配列APWCGHCが2ケ所存在することが明らかになった。イネゲノムデータベースからイネPDIの遣伝子構造を推定した。N末端の一部を除き、その構造が明かとなった。9〜10のエクソンから構成されていることが推定された。従ってPDI遺伝子は10未満のイントロンによって分断されていると推定した。 (2)40kDaPDIと60kDaPDIの構造上の特性の解明:昨年報告した以上の新しい情報は得られなかった。 (3)40kDaPDIと60kDaPDIのイネ組織間における発現の特性の解明:40kDaPDIと60kDaPDIに対する抗体を用いる免疫沈澱法を使って、それぞれのPDIが存在しているかについて調査した。その結果、40kDaPDIと60kDaPDIは野生種の登熟種子で存在していることが明らかになった。一方、突然変異体esp2では40kDaPDIは存在しているが、60kDaPDIはタンパク質が存在していないことが明かとなった。従ってesp2は60kDaPDI遺伝子の発現そのものがなされていないことが判明した。 (4)イネ植物体における2種類のPDIの酵素としての働きの解明:両PDIが活性型酵素として存在しているか調査した。その結果、40kDaPDIと60kDaPDIは野生種の登熟種子で活性型酵素として存在し、一方、突然変異体esp2では40kDaPDIは活性型酵素として存在しているが、60kDaPDIはタンパク質が存在していないことが明かとなった。さらにイネ野生種の登熟種子では60kDaPDIは全PDI活性の約60%、一方40kDaPDIは40%を占めていることが明らかになった。突然変異体esp2では40kDaPDIは100%を占めていた。以上のことから40kDaPDIは60kDaPDIとは生理機能が異なると推察された。 (5)60kDaPDIのアンチセンス遺伝子組み換え体イネの作出:10系統の60kDaPDIアンチセンス遺伝子組み換え体が得られた。次代種子中のPDIについて酵素学的に又、免疫化学的に解析中である。
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