2003 Fiscal Year Annual Research Report
微生物二次代謝産物からの癌細胞足場非依存性増殖阻害物質の探索とその応用研究
Project/Area Number |
14560083
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
五十嵐 康弘 富山県立大学, 工学部, 助教授 (20285159)
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Keywords | 足場非依存性増殖阻害物質 / anicequol / 微生物スクリーニング |
Research Abstract |
本年度は、(1)放線菌TT2149株が生産する活性物質の単離・構造決定と生物活性評価、(2)糸状菌由来阻害物質anicequolの構造活性相関について検討を行い、以下の結果を得た。 (1)前年度までにTT2149の活性成分3種類を単離したが、構造解析に十分な量が得られなかった。本年度は生産培養条件の検討と大量培養を行い、約10Lの培養液から単一な成分TT2149Cを3.3mg得ることができた。これについて構造解析を行った結果、糖1位と6位の立体化学は未決定であるが、spicamycinの脂肪酸側鎖9位にcis型二重結合が存在する新規化合物であることを明らかにした。次いで、類縁化合物のspicamycin、septacidinと共に、TT2149Cの足場非依存増殖阻害活性を比較検討した。3化合物の問で、IC_<50>値に大きな差はなく、10nM程度でSKOV-3の足場非依存性増殖を阻害し、基質接着下の細胞は30〜40nMで阻害された。また、(財)癌化学療法センターの癌パネル試験では、種々の癌細胞の増殖をIC_<50>値1〜10nMで阻害し、そのフィンガープリントパターンは、KRN5500(spicamycin合成誘導体)に高い相関を示した。TT2149Cの作用機序については興味が持たれるが、類縁化合物のKRN5500が米国で抗癌剤の臨床試験中(Phase I)であることから、TT2149Cをリードとした抗癌剤開発は困難と考えられる。 (2)Anicequol(3β,5α,7β,11β,16β-16-acetoxy-3,7,11-trihydroxyergost-22-en-6-one)を化学変換することにより誘導体合成を行い、構造活性相関を調べた。その結果、anicequolの側鎖二重結合を還元した化合物と3位水酸基をアセチル化した化合物がanicequolよりもDLD-1の足場非依存性増殖を阻害する有効濃度が低く、かつ基質接着下の細胞に対する毒性が低いことがわかった。今後は、これらの誘導体を大量に調製し、マウスでのin vivo試験を実施する予定である。
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