2002 Fiscal Year Annual Research Report
チアミン結合タンパク質の構造、機能と種子改良に関する研究
Project/Area Number |
14560086
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
渡辺 克美 近畿大学, 農学部, 助教授 (60288884)
|
Keywords | 種子貯蔵タンパク質 / チアミン結合タンパク質 / チアミン / ゴマ / ゴマ種子 |
Research Abstract |
1.チアミン結合活性を測定したところ、活性はゴマ種子の登熟とともに高まり、発芽期においては減少していった。又、チアミン結合タンパク質に対する抗体を用い、SDS-PAGEで展開したタンパク質に対してウェスタンブロッティングを行なったところ、種子の登熟とともにチアミン結合タンパク質に対するシグナルは明瞭なものとなり、一方、種子発芽とともに、そのシグナルが弱まっていくことが明かとなった。 2.チアミン結合タンパク質をコードするcDNAの情報をもとに、その遺伝子の発現について検討した。ゴマ種子及びゴマ植物の他の部分(根、茎、葉、果皮)から抽出した全RNAを鋳型としてRT-PCRを行なったところ、登熟期の種子から得たRNAに対してのみ遺伝子の増幅が認められた。遺伝子の増幅により得られるシグナルは登熟段階が進んだ種子においてより強いものであった。又、cDNAをプローブとしてノーザンハイプリダイゼーションを行なったところ、同様の結果を得た。 3.種子のパラフィン切片を作成し、抗体を用いて免疫染色を行なったところ、種子の残存胚乳部分に反応シグナルが認められ、チアミン結合タンパク質はゴマ種子では残存胚乳部分に蓄積されることが明かとなった。又、その蓄積量は種子の登熟とともに高まり、発芽とともに減少した。種子以外の部分ではチアミン結合タンパク質の蓄積は認められなかった。 4.種子の登熟、発芽にともなうチアミン量の変化を測定したところ、登熟期の種子では登熟とともにチアミン量、特に遊離型チアミンの量が著しく増加した。一方、発芽期の種子においては、遊離型チアミン量は減少していったが、リン酸エステル型チアミンの量は増加していった。
|