2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14560091
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
白川 仁 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (40206280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒井 三千夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80143022)
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Keywords | ビオチン / 糖尿病 / インスリン様作用 |
Research Abstract |
水溶性ビタミンのビオチンは、哺乳動物において4種類のカルボキシラーゼの補酵素として、重炭酸塩をカルボキシル基として基質に転移させる反応に関与しているが、ビオチンの新しい作用として我々のグループは、糖代謝改善作用を持つことを示してきた。本研究は、この「ビオチンの作用機作の全容を解明」することを目的とした。まず、膵β細胞からのインスリン分泌におけるビオチンの作用部位の特定を試みた。ラット膵臓からランゲルハンス島を単離・培養し、ビオチン添加によるインスリン分泌量の変化を測定した。インスリン分泌量はビオチン50μMまで濃度依存的に増加した。この作用は、グルコースの代わりにピルビン酸を用いた場合においても見られることから、解糖系以降、すなわちミトコンドリア内での反応に関与していると推定された。そこで、標識部位の異なったグルコースの放射性同位体を用いて、TCAサイクルにおける酸化的リン酸化能を測定した。その結果、[U-^<14>C]グルコースを用いた場合、^<14>CO_2生成量は、ビオチン添加で2倍上昇したのに対して、[6-^<14>C]グルコースを使用した場合、変化しなかった。このことから、ビオチンはミトコンドリア内におけるグルコースの酸化を顕著に増加させ、ATP産生を増加させるが、TCAサイクルの回転能には影響を与えず、ATP産生上昇は、NADHシャトルなど他の経路によると推定される。 次に、ビオチンによる肝臓ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)の発現に及ぼす影響の解析を行なった。ストレプトゾトシン誘導糖尿病ラットにビオチンを投与した場合、PEPCK mRNAはコントロールと比較して40%減少し、糖尿病改善効果が見られた。インスリン感受性を有するラット肝臓由来H4IIE細胞を用いて、ビオチンの作用点の推定を試みた。グルココルチコイドによってPEPCK mRNAを誘導した場合、インスリンはPEPCKの発現を抑制するが、ビオチンでは逆に発現が亢進された。以上のことから、ビオチンは本細胞ではインスリンの作用を抑制することが示唆された。
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