2002 Fiscal Year Annual Research Report
柑橘果皮に含まれるオーラプテン(auraptene)の免疫調節機能の解析
Project/Area Number |
14560108
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
菅野 道廣 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (70038181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤星 亜朱香 熊本県立大学, 環境共生学部, 助手 (10316193)
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Keywords | オーラプテン / 甘夏果皮 / ラット / 血清トリグリセリド / インスリン / 腫瘍壊死因子 / レプチン / 体脂肪 |
Research Abstract |
【目的】オーラプテン(Aur)はクマリン系化合物の一種で,特定の柑橘果皮に局在している。Aurの生理作用には,発ガン抑制や活性酸素の生成抑制が知られており,発ガン抑制機構は解毒酵素群の誘導による発ガン物質の排泄促進,活性酸素産生系の抑制による酸化ストレス軽減などの複合的な機能によることが明らかになりつつある。そこで,本研究ではAurの生理作用をより詳しく知るため,ラットを用いた摂食実験による種々のパラメータに及ぼす影響について検討した。【方法および結果】《実験1》柑橘果皮乾燥物を用い,Aurを0.01%レベルで含む甘夏群,Aurをほとんど含まないポンカン群および対照群(セルロース)を設けた。飼料組成はAIN-93Gに準じ,28日間飼育した。その結栗,肝臓重量および血清グルコース濃度は甘夏群およびポンカン群で有意な低下が見られた。また腎臓重量および血清TNF-alpha濃度は甘夏群で有意な上昇が見られた。《実験2》甘夏果皮より調製したAur濃縮物を用い,Aurを0.04%レベルで含む群と対照群を設け,26日間飼育した。体重増加量および食餌効率に影響は認められないものの,摂食量および腎臓重量においてAur群で有意に高い傾向を示した。また白色(腎臓および睾丸周辺)脂肪組織重量には有意差はなかったが,Aur群で低い傾向が見られた。血清トリグリセリド濃度は,Aur群で有意な減少が認められた。血清インスリン濃度もAur群で低い傾向にあったが,有意差はなかった。グルコース濃度には影響は見られなかった。血清TNF-alpha濃度については,Aur群で高い傾向が見られたが,有意ではなかった。一方,脾臓リンパ球のNK活性は有意差はないもののAur群で低い傾向にあった。【結論】実験1と2で共通してAur摂取による血清TNF-alpha濃度の上昇が観察された。Aurの摂取は脂肪組織での脂肪酸代謝に好ましい影響を与える可能性があり,また血清脂質像を改善することが認められたが,免疫調節機構について明確な影響は確認できなかった。より高純度の標品を調製し,明確な効果を確認する必要があり,次年度実施する予定で準備中である。
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