2004 Fiscal Year Annual Research Report
土砂生産場である山腹斜面の崩壊に対する免疫性に関する水文・地形学的研究
Project/Area Number |
14560121
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
平松 晋也 信州大学, 農学部, 教授 (70294824)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 芳治 東京農工大学, 農学部, 教授 (70285245)
牛山 素行 東北大学, 災害制御研究センター, 講師 (80324705)
|
Keywords | 表層崩壊 / 免疫性(周期性) / 土砂生産ポテンシャル / 水文観測 / 森林伐採 |
Research Abstract |
本研究は,四国地域を対象地域として選定し,「「太平洋沿岸地域:高知県」と「瀬戸内海沿岸地域:愛媛県」とでは雨の降り方は大きく異なっているにもかかわらず,土砂生産状況にはほとんど変化が見られない」といった四国内での土砂災害環境の相違や変化(土砂災害環境の時間的変化)の原因を解明するとともに,将来の土砂災害対策のあり方を議論・模索する上での基礎情報を提供することを目的として実施した。 多雨地域(上改田川流域),非多雨地域(上宿野谷流域)より不撹乱状態で採取した供試体に対して土質試験を実施した結果,両流域とも風化開始後の経過年数の増加とともに乾燥単位体積重量は指数的に減少し,間隙率は指数的に増加する結果となった。同様に,粘着力は風化開始後の経過年数の増加とともに指数的に減少するものの,内部摩擦角と風化開始後の経過年数との問には明瞭な関係は認められなかった。 崩壊の発生に関与する「土層厚の成長:素因」と「雨の降り易さ:誘因」の両者を勘案した崩壊に対する<免疫性評価モデル⇒崩壊発生危険度評価モデル>を新たに構築し,同モデルを多雨地域(高知県)と非多雨地域(愛媛県)の両流域に対して適用した。その結果,両地域とも現在からの経過年数や降雨量の増加とともに安全率は減少傾向を示し,崩壊誘発雨量は多雨地域(上改田川流域)では646.0mm/day,非多雨地域(上宿野谷流域)では319.0mm/dayとなり,両者に300mm/day以上もの差が認められた。一方,斜面安定化指数は,多雨地域(上改田川流域)では365年,非多雨地域(上宿野谷流域)では413年となりこの差は50年程度と「崩壊しやすさ」すなわち土砂生産環境は両地域とも類似する結果となった。この崩壊誘発雨量の差が崩壊に対する免疫性を意味していることになるため,多雨地域では非多雨地域と比較して崩壊に対する免疫性が大きいことが明らかとなった。
|
Research Products
(3 results)