2002 Fiscal Year Annual Research Report
樹木木部細胞の分化過程における細胞骨格ミオシンのダイナミックスに関する研究
Project/Area Number |
14560127
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
船田 良 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20192734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 雄三 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (90226043)
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Keywords | 細胞骨格 / ミオシン / 微小管 / アクチン / 細胞分化 / 修飾構造 / 木部細胞 / 共焦点レーザ走査顕微鏡 |
Research Abstract |
ミオシンは、ATPの加水分解エネルギーを利用してアクチンフィラメントとの間で滑り運動を行う、いわゆる"motor-proteins"の一種と考えられている。ミオシンは、アクチンを移動させることにより筋肉の収縮を起こすなど、動物細胞で多くの知見が得られているのとは対照的に、植物細胞でのミオシンの役割については不明な点が多い。特に樹木細胞においては知見がほとんど無く、樹木細胞の分化過程においてどの様な役割を担っているかは不明である。しかしながらミオシンは、容易にアクトミオシン複合体を形成することから、樹木細胞の分化過程においてアクチンフィラメントや表層微小管の局在や配向の制御を通して形態形成を制御していることが充分予想される。そこで今年度は、木部細胞の分化過程や木部細胞内におけるミオシンを解析する方法の確立とともに、分化中木部細胞内におけるミオシンの局在や配向を観察した。ミオシンの観察には、これまでアクチンフィラメントの可視化などで確立した方法と同じく、ミオシンに対する抗体を用いた蛍光抗体染色法により行った。分化中木部を含む切片を作成し、その切片をミオシンに対する抗体で染色後、さらに蛍光色素を標識した二次抗体で染色を行い、共焦点レーザ走査顕微鏡で観察した。その結果、ミオシンに由来すると思われる蛍光が観察された。蛍光は、壁孔やらせん肥厚などの修飾構造近傍に認められ、ミオシンが細胞壁成分の局在に関与している可能性が考えられる。また、これまでの研究からアクチンフィラメントが同じく修飾構造近傍に局在することが明らかにされており、ミオシンとアクチンフィラメント間に何らかの相互作用が存在することが予想される。来年度は、同一切片上でアクチンフィラメントや微小管など他の細胞骨格とミオシンを二重染色し、両者の関係についてさらに詳細な観察を行い、樹木木部細胞分化の制御機構に関する新たな知見を得る予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kitin, P., Sano Y., Funada, R.: "Three-dimensional and analysis of differentiating secondary xylem by confocal microscopy"International Association of Wood Anatomists Journal. (in press).