Research Abstract |
無添加(None),Ni添加(Ni),Ni+Ca添加(Ni+Ca)木材を昇温速度10℃/minとしてHe気流中700,750,800,850,900℃で1h炭化し,液体,気体の生成及び炭化物の表面積,細細孔構造,炭素の結晶性を調査した。Ni2%はNoneよりH2とC02発生量が多く(それぞれ1.6,1.2倍),油分(液体生成物中のアセトン可溶分)は900℃では多く,油分中の酢酸割合APは温度にかかわらず高かった(Noneは6-7%,Ni2%は8-9%>。また,Ni2%炭はNone炭よりBET表面積SAは小さい(None炭は700-900℃でほぼ400m2/g,Ni2%炭は700,800,900℃でそれぞれ400,320,160m2/g)が,メソ細孔割合MPP(直径2-50nmのメソ細孔の占める体積と全細孔容積の比)が高く(None炭は700-900℃で60-45%,Ni2%炭は850,900℃で約95%),850と900℃では結晶炭素(T成分)が生成した。Ni4%ではNi2%よりH2とC02発生量が僅かに増加し,APは11-12%まで増加したが,SA, MPP, T成分の発達には大差はなかった。一方,Ni2%+Ca1%のH2とC02発生量はNi2%の1.1-1.2倍で,APは16-20%であり,900℃のNi2%+Ca1%炭のT成分の発達は同温度のNi2%より劣るが,SAは大きくMPPは96%であった。Ni4%+Ca2%はNi2%+Ca1%とSA, MPP, T成分の発達はほぼ類似であったが,H2発生量はNi2%+Ca1%の1.2倍で,APは30-44%と非常に高かった。以上の結果から,Ni単独添加でもH2発生量とAPの増加,MPPの増大を伴うT成分の生成が観測されるが,Caの共添加は,熱分解域を800℃以上の高温に移行させることで標記目的のメソ細孔とT成分の同時選択的発達を可能とした。
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