2003 Fiscal Year Annual Research Report
構造用製材の高温乾燥中における割れ発生機構の破壊力学的解析
Project/Area Number |
14560132
|
Research Institution | Shizuoka university |
Principal Investigator |
祖父江 信夫 静岡大学, 農学部, 教授 (50023495)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 孝久 長野県林業総合センター, 研究員
平井 信之 静岡大学, 農学部, 教授 (70023439)
|
Keywords | 高温乾燥 / 割れ発生 / 破壊力学 / 割れ抑制 / 破壊靭性値 / 割れ進展機構 / 構造用製材 |
Research Abstract |
15年度は次の三つの課題について検討した。 1.高温乾燥過程を再現する破壊靱性試験法の開発 高温雰囲気下破壊靱性試験装置を用いて、実用的な高温乾燥温度域(100から120℃)で実験を行った。飽水スギ試験体を用いシリコンオイル中で乾燥応力を計測した。常温付近では、割れが晩材を貫通する時に大きな応力低下を示し、割れが不安定的生長と一時的停止を繰り返したが、高温での応力低下はわずかだった。破壊靱性値は、常温で約0.8MN/m^<3/2>。高温乾燥では約0.18MN/m^<3/2>に低下し、約1/4程度に減少した。 2.模擬実験と実機乾燥の比較 実機高温中(120℃)の材内部が100℃を超えることから、材内部は加熱水蒸気状態であることが推測された。実機高温乾燥では割れの抑制が認められ、模擬実験では、破壊靱性値は大きく低下した。高温乾燥では内部割れが大きく、その抑制には表面の高温セット後は90℃の中温乾燥が効果的であった。 3.破壊力学的手法による割れの発生と進展の解析まとめ 最初の割れ発生は、晩材に見られる。早・晩材の収縮率差に基づく、晩材内の引張応力が原因と考えられる。割れの進展には、晩材のミクロ割れが両側の年輪に拡張するもの、複数個のミクロ割れが合体して乾燥割れに進展するものがあった。基本的には、割れの進展と停止を繰り返して拡大した。剛性の高い晩材部における不安定割れの貫通の余剰エネルギーで早材部まで進展したのち一時停止し、乾燥の熱エネルギー供給による新たな乾燥ひずみの蓄積を待ち、次の晩材の貫通が繰り返されて、割れが進展する過程が推測された。
|
Research Products
(1 results)