2002 Fiscal Year Annual Research Report
過熱水蒸気下での木材乾燥と乾燥応力発生機構に関する研究
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14560135
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
師岡 敏朗 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (00192378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
則元 京 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (20027163)
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Keywords | 乾燥 / 高温 / 水蒸気処理 / 乾燥応力 / 過熱水蒸気 / 収縮応力 / 木材横方向 |
Research Abstract |
100℃を越える高温・飽和水蒸気雰囲気での木材横方向応力緩和測定の結果、短時間に応力は0に向かうことが分かつている。このことから、高相対湿度の過熱水蒸気雰囲気での応力緩和についても、同様のことが期待され、そのような雰囲気で木材を乾燥した場合、含水率が低下しても、内部応力の発生は抑制される可能性がある。本年度は、過熱水蒸気下での引張試験装置を開発し、それを用いて過熱水蒸気下での乾燥を試み、乾燥過程で収縮変形を拘束することにより発生する引張応力について、温度、相対湿度の影響を検討した。 100℃以上の過熱水蒸気雰囲気での乾燥過程で生じる収縮応力と100℃以下でのそれとの違いは放射方向収縮応力-含水率関係に典型的に現れた。80℃での乾燥では、相対湿度が異なると、乾燥に要する時間は大きく異なった(1〜7時間)が、含水率で比べると、乾燥時間が異なっても、同じ含水率に達していれば、おおむね同じ収縮応力を与え、含水率50%付近から、含水率の低下に伴って収縮応力は急激に増加した。接線方向収縮応力についてもほぼ同様の結果が得られた。また顕著な乾燥割れが生じる際の収縮応力、最大収縮応力は相対湿度によらず約8kg/cm2であった。一方、180℃での乾燥では、80℃での場合に比べて、乾燥速度は速く、相対湿度によらず、乾燥時間は類似していて、20〜70分の範囲であった。しかし、同じ含水率で比べると、80℃の結果と異なり、相対湿度の増加に伴って、収縮応力の増加は抑制され、60%RH以上での乾燥の場合には、最大収縮応力は2kg/cm2以下に留まった。同様の結果が接線方向収縮応力についても観察された。しかし、同じ含水率で、接線および放射方向収縮応力をくらべると、相対湿度0%付近では放射方向の値の方が相当に大きくなるが、60%以上の相対湿度では接線方向の値のほうが大きくなった。これは、過熱水蒸気下では、乾燥に関係しない収縮応力が発生し、その接線方向値が放射方向値より大きいためと考えられた。この収縮応力は予備水蒸気処理で除去可能であり、予備処理後に180C、80%RHで乾燥する際に、収縮を拘束しても、全乾付近まで割れは生じなかった。
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