2003 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯産超小型ワムシ類の生物機能解明と大量保存への展開
Project/Area Number |
14560155
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
萩原 篤志 長崎大学, 大学院・生産科学研究科, 教授 (50208419)
|
Keywords | 熱帯産超小型ワムシ類 / 遺伝的特性 / 耐久卵 / 低温耐性 / 冷凍保存 / 仔魚飼育 |
Research Abstract |
1.SS型ワムシの遺伝的特性 SS型のインドネシア株とタイ株,S型のスペイン株の計3株を用いて、雌と雄の組合せを合計6通り作った。ワムシの交尾行動は、雌雄の接触→雄の旋回行動→交接の3段階で構成され、その後、受精に至る。ここでは、一連の交尾行動頻度を求めると共に、雌100個体と雄50個体を同一容器(水量5mL)に収容し、受精個体の出現状況をもとに受精率を求めた。その結果、SS型同士の組合せでは雌雄の接触後、交接に至る割合は5.0〜16.6%で、その後の受精率は7.7〜34.7%だった。一方、S型スペイン株とSS型2株の間では旋回までは観察されたが、交接は観察されず、受精率も0%だった。S型株と交接するSS型株の存在も報告されていることから、S型ないしSS型とみなされるワムシ株内にもそれぞれ大きな遺伝的変異があると考えられた。 2.SS型ワムシを用いたマハタ仔魚飼育 SS型ワムシの給餌密度を3,10,30個体/mlとし、飼育を行ったとき、3個体/mlの給餌量では日令6、7で摂餌数が少なくなる傾向が見られ、日令7の全長も他の給餌密度区より低くなった。しかし、日令8以降は他の給餌密度区との間に差は見られなくなった。よって、実験終了時の結果を見る限り3個体/mlのワムシ給餌密度でもマハタ仔魚の飼育は可能であることが分かった。しかし、マハタ仔魚のように口径の非常に小さい魚種の場合、給餌する密度ではなく、給餌するワムシの中にどれだけ仔魚が摂餌できるワムシが存在するかということも大変重要である。今回の実験に用いたSS型ワムシインドネシア株の被甲長サイズ組成は80〜156μm(平均被甲長114μm)だったが、日令4のマハタ仔魚が摂餌していたワムシの被甲長組成は75〜138μm(平均104μm)であった。このことから、開口直後のマハタ仔魚は給餌した全てのワムシを摂餌することができたわけではなく、サイズの比較的大きなワムシは摂餌不可能であったと思われる。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Assavaaree, M., Hagiwara, A., Kogane, T., M.Arimoto: "Effect of temperature on resting egg formation of the tropical SS-type rotifer Brachionus rotundiformis Tschugunoff"Fisheries Science. 69. 520-528 (2003)