2002 Fiscal Year Annual Research Report
フグ科魚類稚魚におけるテトロドトキシンの来源と毒化機構
Project/Area Number |
14560159
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山森 邦夫 北里大学, 水産学部, 教授 (80012029)
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Keywords | 三陸 / クサフグ / コモンフグ / 稚魚 / 成長 / 毒化 / 毒性 / テトロドトキシン |
Research Abstract |
フグの毒化機構解明のため、2000年、2001年に引き続き、2002年もフグ科魚類稚魚が成長し毒化する過程を追跡した。コモンフグ稚魚は岩手県越喜来湾の鬼沢漁港に、クサフグ稚魚は宮城県の日門漁港に接岸した各野生個体を標本として毎週数十尾採集し、その毒性を調べた。標本の一部はマリノリサーチ社に耳石による日令査定を依頼し耳石除去後に、また海から隔離し一定期間無毒餌で飼育後に毒性を測定した。コモンフグ稚魚は鬼沢漁港に9月18日に出現した。体重範囲は0.045-0.482g(平均値O.214g)と広く、日令から推定した孵化日は7月13日から8月11日に及んだ。個体別毒量(平均値)はすでに98MUであった。10月3日に体重は0.787g,毒量は330MUに急増した。10月10日に体重は1.192g,毒量は299MUを示した。その後体重は維持されたが毒量は急減し、10月24日には83MUまで低下した。その後、11月7日に体重は2.036g,毒量は217MUに再び増加した。クサフグ稚魚は日門漁港に9月22日に出現した。体重(平均値)はO.272g,毒量(平均値)は56MUであった。その後、体重は10月11日に0.706gに達した後増加しなかった。毒量は9月27日126MUを示した後減少し、1O月24日に1OMUまで低下した。その後、11月8日に毒量は32MUに再び増加した。10月3日の推定孵化日は7月11日から8月18日に及んだ。その後の標本による推定孵化日は遅いものが増え、8月28日に及んだ。一方、10月3日以降隔離飼育したコモンフグ群および9月27日以降隔離飼育したクサフグ群では毒量の大幅な減少は認められなかった。野生群における毒量の急減は意外であった。その原因としての群れの大幅な交代はふ化日の追跡から考えにくかった。
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