2004 Fiscal Year Annual Research Report
DNA分析手法を応用した甲殻類捕食者によるヒラメ仔稚魚の被食生態の解明
Project/Area Number |
14560160
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
朝日田 卓 北里大学, 水産学部, 助教授 (00296427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 洋 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (60346038)
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Keywords | ヒラメ / 甲殻類捕食者 / 種判別 / ミトコンドリアDNA / 被食 / 密度依存 / サイズ選択的捕食 / イシガレイ |
Research Abstract |
今年度は3ヶ所で行った野外調査により得られたサンプルの解析を主に行い、捕食者および被食者の生息状況や被食実態を明らかにした。採集は前年度までの結果を踏まえて、日没後12時間程度までの夜間から早朝に行った。 若狭湾においては、ヒラメの稚魚を捕食していた甲殻類はほとんどがキンセンガニであり、浅海域における優占的な捕食者であることが示唆された。採集されたキンセンガニのうち約6%の個体からヒラメのDNAが検出された。甲殻類以外でヒラメ稚魚を捕食していたのはカミナリイカ、ヒラメ成魚、マエソ、メバル、アカエイ、アオリイカで、特にカミナリイカはヒラメ稚魚の強力な捕食者であることが示唆された。宮古湾では、ヒラメの着底時期が主に6月中旬から7月中旬であることや、エビジャコの生息密度とヒラメの生息密度の間に逆の相関関係があること等が明らかとなった。仙台湾では、2月初旬頃からイシガレイの稚魚が浅海底に着底を始め、成長と共に浅い海域に移動し最終的には淡水の流入する浅い干潟域に現れるとと、それを追うように3月上旬まで干潟域では採集されなかったエビジャコが、3月中旬以降干潟域にも現れることなどが明らかとなった。例えば、イシガレイ稚魚の生息密度は水深によっても多少異なるが、2月中旬に172尾/Km^2、3月上旬に186尾/km^2であったのが、3月中旬には52尾/km^2、4月中旬には3尾/km^2と減少した。一方、干潟域では3月中旬まで300-400尾1km^2ほどであったものが、3月中旬以降には600-1100尾/km^2に増加した。また、エビジャコ消化管内容物の分析からイシガレイを捕食していたエビジャコは34mm以上の大型個体のみであり、30mm以下の小型個体は、他の種も含めて魚類を捕食できないことが示唆された。さらに、イシガレイが成長する3月中旬以降は、大型のエビジャコであってもイシガレイを捕食できなくなる可能性が高いことが示された。これはエビジャコによる異体類仔稚魚の捕食がサイズ選択的であり、着底直後の仔稚魚が最も捕食されやすいことを示唆する。また、被食種に対する捕食率は、被食種の密度の増加に伴って増加する密度依存的なものであることが考えられる
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Research Products
(1 results)