2003 Fiscal Year Annual Research Report
養殖環境における生物濾過膜微生物の制御による病原微生物防除法の開発
Project/Area Number |
14560165
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
前田 昌調 宮崎大学, 農学部, 教授 (10343782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 照豊 宮崎大学, 農学部, 助教授 (20240294)
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Keywords | 抗病原菌細菌 / 抗ウイルス細菌 / 付着細菌 / バイオコントロール / 銅イオン滅菌 / 養殖環境 / 無投薬養殖 / 安全、安心養殖魚 |
Research Abstract |
魚類(イシガキダイ、ホシガレイ、ヒラメ)の生物濾過膜より微生物を分離し、その機能(主として拮抗作用)および同定をおこなった。分離した細菌の中で、約半数の株は病原菌Vibrio anguillarumに対して拮抗作用をしめし、病原菌の増殖を抑制した。また、その大半の菌株は魚類伝染性造血器壊死症原因ウイルス(IHNV)の増殖を抑制した。この結果は、養殖環境においては、病原菌の増殖を抑制する有用細菌が多数生息し、その作用によって疾病防除効果があらわれていることを示唆している。これらの有用細菌は、紫外線滅菌をおこなっている水中では、その菌数は少なく(紫外線滅菌をおこなっていない場合の約1/100)、一方、生物濾過膜などの付着基盤上では増加(紫外線滅菌を行っていない場合の約10倍)する傾向にあった。さらに、病原菌を抑制する菌株は、養殖水中よりも生物濾過膜上において、その出現割合が高く、同様に抗ウイルス細菌の出現割合も生物濾過膜上において高かった。これらの有用細菌の多くは、Pseudomonas属の種と同定された。これらの有用細菌のなかで、魚類(主としてヒラメを使用)の生長促進効果をあらわす菌株を選抜した。 さらに、銅イオンを使用して常時飼育水を滅菌しているヒラメ養殖水環境においては、水中の細菌数は銅イオンを使用していないヒラメ養殖水と比較して、約1/100と低い値を示した。これらの細菌の多くは、魚類の成長阻害作用をあらわすFlavobacterium属の種であった。また、この銅イオン滅菌を行っている養殖水に上記病原菌に対して拮抗作用をしめし、同時にヒラメの成長促進効果も保持する有用細菌を約1ヶ月間添加したが、その多くは検出できなかったため、銅イオン滅菌環境においてはこれら有用細菌の生存は困難と考えられた。 これら、有用細菌を配合飼料に混合してヒラメに一定期間投与し、その後に病原ウイルス(ビルナウイルス)を注射感染したところ、対照実験区と比較して有用細菌投与区のヒラメの生存率が高かった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Maeda, M: "Microbial communities and their use in aquaculture"World Aquaculture Society. Special Issue. 61-78 (2002)
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[Publications] Maeda, M.: "Coordination of the international cooperative research in agriculture, forestry and fisheries fields"Fish.Sci.. 60. 1940-1943 (2002)
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[Publications] Maeda, M.: "Utilization of microbial antagonism for biological control in aquaculture"Asian Productivity Organization. Special Issue. 35-73 (2003)