2004 Fiscal Year Annual Research Report
淡水産および海産サメ類ミオシンの構造比較による尿素抵抗性機構の解明
Project/Area Number |
14560171
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
加納 哲 三重大学, 生物資源学部, 教授 (80177550)
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Keywords | 海産サメ類 / 尿素抵抗性 / 淡水エイ / ドチザメ / ミオシン / アミノ酸配列 / cDNAクローニング / ハイギョ |
Research Abstract |
海産サメ類は浸透圧調節のためにタンパク質変性剤の尿素を高濃度に含有しているにもかかわらず,硬骨魚類と同様の生命活動レベルを維持することができる。著者らは海産サメ類のタンパク質が尿素の変性作用に耐えられる特別な構造を有しているためと考えている。本研究は筋収縮の中心的なタンパク質であるミオシンの尿素抵抗性の分子機構の解明を目的としている。昨年度の研究から,同じサメ類であるが体内に尿素を含有せず尿素抵抗性を示さなかった淡水エイPotamotrygon histrixと海産サメ類のドチザメTriakis scylliaのミオシンの分子構造の比較からミオシン重鎖S1領域の必須軽鎖結合領域やATPおよびアクチン結合部位近傍の配列が尿素抵抗性に関与している可能性が示された。この領域の尿素抵抗性との関連性を確認する方法として発現リコンビナント・ミオシンLMMおよびその変異ミオシンからの確認が重要であるが,これに加えて海産サメ類や淡水エイとは異なった窒素排泄形態を示すハイギョのミオシンの構造との比較が急がれた。現在までに,エチオピアハイギョProtopterus aethiopicusのミオシン重鎖C末端から605残基までの一次構造が解析され,この領域はドチザメと84.8%,淡水エイと85.3%の同一性を示した。さらにこのハイギョの筋原線維Mg^<2+>-ATPase活性はサメ類の生体内尿素濃度付近(0.3M)で最大活性を示し,それ以上の尿素濃度では濃度の上昇に伴い1.5Mまで緩やかに低下し,その後,急激に失活しサメ類に類似の傾向を示した。目下,ドチザメおよび淡水エイのミオシン変異体の作成を引き続き実施している。
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Research Products
(4 results)