2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14560173
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小瀧 裕一 北里大学, 水産学部, 助教授 (30113278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 正昭 北里大学, 水産学部, 教授 (40050588)
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Keywords | 記憶喪失性貝毒 / ドウモイ酸 / 細菌 / Pseudo-nitzschia multiseries / 光合成活性 / クロロフィルa / 鉄 / 遮光 |
Research Abstract |
Pseudo-nitzschia multiseriesのドウモイ酸(DA)生産と光合成の関係を追求する過程で、培養液中の溶存鉄の枯渇とDA生産が密接に関連していることを昨年見いだした。また無菌培養細胞を鉄欠乏培地に移して培養を続けるとDA生産がおこる結果も得た。 本年度行った再現実験では、鉄欠乏培地に移した無菌培養細胞が急激なDA生産を行うことはなく、DAの生産が見られたのは全て細菌が混入した場合であった。また鉄欠乏培地中で約3週間培養した同無菌培養に、これまでDA生産上昇能が確認されている細菌を添加したところ、Chl.aの増加と急激なDA生産が確認され、DA生産には鉄欠乏に加えて細菌の存在が重要なことが確認された。次に透析膜やmembrane filterを用いて細菌の関与の仕方を追求したところ、細菌と本藻無菌培養を分画分子量12,000の透析膜で隔てた場合はDA生産は見られなかったが、細菌を通さず分画分子量は透析膜よりずっと大きい孔径0.2μmのfilterでろ過したろ液中では無菌細胞でもDA生産上昇が見られた。 また本藻のnon-axenic培養の途中で遮光を行ったところ、光照射下では見られるDA生産が見られなかった。また遮光中の培養にATP、NADP、NADPH、glucoseをそれぞれ添加した場合でもDA生産は認められなかった。今回は機器の精度の関係で光合成活性との関係がはっきり見られないなど、詳細や結果の再現性の確認が必要であるが、以上の結果が正しいとすると本種のDA生産は光合成に依存している可能性が強く、以下の仮説を導くことが可能である。 すなわち培地中の溶存鉄の枯渇をきっかけに細菌が関与してDA構造を有するある程度高分子の化合物が作られ、それが鉄をキレートして藻体に取り込まれ鉄を分解放出する過程でDAが析出する。分解反応には何らかの形で光合成が関与し遮光下ではDAは生産されない。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kotaki, Y.et al.: "Wide distribution of Nitzschia navis-varingica, a new domoic acid-producing benthic diatom found in Vietnam"Fisheries Science. 70. 28-32 (2004)
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[Publications] Kobayashi K., Kobiyama, A., Kotaki, Y., Kodama: "Possible occurrence of intracellular bacteria in Pseudo-nitzschia multiseries, a causative diatom of amnesic shellfish poisoning"Fisheries Science. 69. 974-978 (2003)
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[Publications] Yokoyama T., Kan-no, N., Ogata, T., Kotaki, Y., Sato, M., Nagahisa, E.: "Presence of D-amino acids in microalgae"Biosci.Biotechnol.Biochem. 67. 388-392 (2003)