2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14560177
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
齋藤 修 千葉大学, 園芸学部, 教授 (40144894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 清一 千葉大学, 園芸学部, 助手 (60334174)
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Keywords | フードシステム / 提携条件 / インテグレーション / システム間競争 / 産業組織 |
Research Abstract |
本年度は「食品産業と農業の戦略的提携の課題」をフードシステム学会で報告して、理論的な課題を整理し、いくつかの視点から実証的な分析を図った。理論的な課題の1つとして経済主体間の関係性についてマーケティングの視点から解明したのが、「フードシステムにおける関係性マーケティングの課題」である。この関係性のマーケティングの研究は櫻井清一の学位論文にも盛り込まれた。また、食品流通全体の効率性と関係性については、「フードシステムの革新と食品流通の効率化」がある。食品企業の農業参入をめぐる問題については、「食品産業からの農業参入とその条件」に論点を整理し、食品企業の農業支援システムについても論じた。 具体的な分析では、青果物と鶏肉の産業を事例として、産業の固有な問題をふまえて、調査研究を実施することで主要な課題について分析した。青果物では、システム間競争、法人ネットワーク組織の新しい役割、トレーサビルティの意義、産直センターの流通機能などである。また、インテグレーションが最も進展した鶏肉では、インテグレーターの競争関係と経営戦略について分析した。青果物では食品企業が農業に参入したいという要求が強いが、農業サイドでも加工処理、卸売機能の統合化の戦略をとる生産者が増加している。このように青果物では、食品産業と農業の間でシステム間競争が進展するようになった。鶏肉では、インテグレーターによる卸売機能の統合化、加工比率の拡大、量販店・生協との提携とブランド管理が進展し、効率的なシステムが形成されている。生産者との関係では、契約生産、リース(委託生産)、所有の3タイプがあって、生産者のリスクがインテグレーターに移転しやすい、リース方式への転換とインセンティブシステムが課題となった。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 齊藤 修: "食品産業と農業の戦略的提携の課題"フードシステム研究. 9巻2号. 2-16 (2003)
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[Publications] 齊藤 修, 櫻井 清一: "青果物の流通システム間競争"齊藤・慶野編「青果物流通システム論のニューウエーブ」 農林統計協会. 9-23 (2003)
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[Publications] 齊藤 修, 櫻井 清一: "フードシステムにおける関係性マーケテングの課題"齊藤・慶野編「青果物流通システム論のニューウエーブ」 農林統計協会. 204-222 (2003)
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[Publications] 齊藤修, 張秋柳, 西山未真: "青果物におけるアグリビジネス経営体の新展開"齊藤・慶野編「青果物流通システム論のニューウェーブ」 農林統計協会. 205-219 (2003)
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[Publications] 櫻井清一, 齊藤修, 横溝太郎: "青果物産地における生産工程記録とその開示・利用に関する研究"日本農業経済学会論文集. 241-244 (2002)
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[Publications] 張秋柳, 齊藤修, 櫻井清一: "鶏肉産業のインテグレーションをめぐる主体間関係"千葉大学園芸学部学術報告. 57(予定). (2003)
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[Publications] 齊藤 修: "フードシステムの革新と食品流通の効率化"公庫月報(農林漁業金融庫). 625. 2-5 (2002)
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[Publications] 齊藤 修: "食品産業からの農業参入とその条件"農業と経済. 68巻11号. 58-68 (2002)
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[Publications] 稲本, 大西, 齊藤, 安村: "農と食とフードシステム"農林統計協会. 346 (2003)