2004 Fiscal Year Annual Research Report
戦後東ドイツにおける農業集団化と村落構造の変化に関する実証的研究
Project/Area Number |
14560186
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
足立 芳宏 京都大学, 農学研究科, 助教授 (40283650)
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Keywords | 農業集団化 / 土地改革 / 東ドイツ / ドイツ農業 / 社会主義 / 戦後ドイツ史 / 農村史 / 社会史 |
Research Abstract |
本研究は、メクレンブルク・フォアポンメルン州を対象地域として、戦後東ドイツの農業集団化過程の全体像を、村落構造の変化との関わりで実証的に明らかにすることを目的としている。今年は、昨年度の村落レベルでの集団化過程分析の結果をふまえ、郡レベルみた集団化の過程の調査と分析を行った。対象としたのはロストク県バード・ドベラン郡であり、主としてLandesarchiv Greifswald所蔵の郡SED党の情勢報告ファイル(1952-1960)他のアルヒーフ史料の読み込みを行った。現在なお分析中であるが、暫定的な成果として以下のような知見を得た。 第一に、1953年6月事件の農村におけるインパクトが予想以上に大きいことである。6月事件を契機としたLPGからの大量脱会やLPG自体の解散はもとより、事件を契機に農村の政治的な力関係が大きく変化している。とくに52年以降の路線に乗った末端の農村党員やLPG組合員たちが、事態の変化に対応できず、動揺していることが明瞭となった。 第二に50年代末から60年初頭の全面的集団化過程について、(1)1960年2月に一気に個人農の組織化が進展すること、(2)この期間の前後にはMTSの党員アクティブを中心とした工作班が継続的に投入されていること、(3)他方で党員新農民の集団化への抵抗が大きいこと。彼らは土地改革のいわば受益者として戦後に党に組織された新農民で、村VdgBを中心に農村再建を担ってきた人々であり、その意味で皮肉にも全面的集団化は土地改革の「成果」と矛盾する側面をはらんでいたのである。(4)旧農民については集団化の暴力的側面が問題となるが、行政文書では弾圧的な側面を明示する直接報告は発見できなかったものの、他方で集団化前後の家畜の急減が深刻な問題となっていたことが確認できた。
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Research Products
(2 results)