2003 Fiscal Year Annual Research Report
黄河、長江流域の土壌浸食・生態系破壊問題と環境農業政策に関する研究
Project/Area Number |
14560187
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
沈 金虎 京都大学, 農学研究科, 講師 (70258664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仙田 徹志 香川大学, 農学部, 助手 (00325325)
加賀爪 優 京都大学, 農学研究科, 教授 (20101248)
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Keywords | 土壌浸食 / 環境悪化 / 草原の砂漠化 / 長江流域 / 黄河流域 / 退耕還林 |
Research Abstract |
本研究は、中国の黄河と長江中上流地域を対象に、土壌浸食、生態環境の悪化とそれをもたらした自然的、経済的、制度的な要因を分析する一方、これまで中国政府が取られてきた土壌浸食防止、生態保全政策の成果と問題点を検証し、将来改善すべき方向を導出することを目的にしている。この2年間の研究を通じて、以下のことが明らかにされた。 (1)黄河中上流の黄土高原を含む西北地域と、長江中上流地域は中国において土壌浸食など生態環境悪化が最も深刻に現れているが、その原因はまず両地域における自然的な生態環境の脆弱さ(傾斜地が非常に多いこと、降雨、気温、日照等の気候条件が調和していないこと等)にある。生態環境の脆弱さがゆえに、その保護に資する森林資源を保護し、農地、草原などの土地資源を慎重に利用すべきであるが、残念なことに、つい最近までその注意があまり払われてなく、環境破壊に繋ぐ農地開墾、森林伐採が大々的に行われ、また草原地域での家畜飼養量はその負荷能力を超えるまで急増してきた。(2)森林伐採、農地開墾と草原の過放牧がここまで進行した背景には、人口増加と西部地域の経済発展の立ち後れなど、経済的な賦存条件があるけれども、環境保全意識の一般的な欠如とそれに基づく政府の一連の農業政策もそれらに拍車をかけてきた。(3)90年代後半以降、以上の政策問題の部は改善されつつある。特に98年以降実施された「天然林保護プロジェクト」と「退耕還林・還草プロジェクト」はこれまて中央政府が命令するだけ、予算を出さない農業政策のスタイルからみれば、画期的であり、目下の実施状況からみれば、大きな成果が期待できる。(4)ただ、これらのプロジェクトは、農地開墾、森林伐採の抑制には効果があるが、草原の過放牧と砂漠化問題にとっては効果が期待できそうもない。草原の生産能力や利用効率を向上させ、牧民の家畜頭数を減らすための、新しい財政援助制度が望まれている。
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[Publications] 沈 金虎: "固定支払いは「緑」の政策と言えるのか -米国農業政策の貿易歪曲効果について-"生物資源経済研究. 第9号(印刷中). (2003)
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[Publications] 加賀爪 優: "オーストラリアの地域間自由貿易協定への取組み状況と食品安全性対策"平成15年アジア・太洋州地域 食料農業情報調査分析検討事業報告. 63-96 (2004)
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[Publications] 加賀爪 優: "自由貿易協定を巡るオーストラリアの対応と国際市場への波及効果"大洋州経済. 第11号. 1-36 (2003)
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[Publications] 劉新平, 加賀爪優, 沈金虎等: "An Economic Analysis of Oases Environmental Deterioration in Xinjiang Autonomous Region of China"生物資源経済研究. 第9号(印刷中). (2003)
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[Publications] 曽寅初, 宋元媛: "森林伐採制限政策の私有林業発展への影響"林業経済. 第161号. 35-46 (2003)
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[Publications] 曽寅初: "中国における森林資源違法犯罪の経済特徴に関する分析"第三回中国国際民間環境組織協力会議論文集. 101-108 (2003)
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[Publications] 張 玉林: "環境汚染状況下の"三農問題"戦略と管理. 2003年第3期. 45-56 (2002)