2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14560197
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
九鬼 康彰 京都大学, 農学研究科, 助手 (60303872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武山 絵美 愛媛大学, 農学部, 助手 (90363259)
三宅 康成 姫路工業大学, 環境人間学部, 助教授 (60262755)
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Keywords | 遊休農地 / 利活用 / 農園 / 地域活性化 / 負担 / 多面的役割 / 菜の花 |
Research Abstract |
九鬼は遊休農地を農園に活用している事例に対するアンケート調査の記述回答を分析した結果,きっかけは都市近郊では都市住民からの要望,中山間地域では都市との交流や地域活性化の発意,と地域差がある一方,どの地域でも都市住民が農業への理解を深める点に期待していることを明らかにした。また継続の可否を分ける要因は農園の施設の充実や立地条件,そして利用者間のコミュニケーションの有無にあることが分かった。一方問題点として,区画以外での維持管理の負担が大きい点が挙げられた。 また三宅は学外の農地で学校農園に取り組む事例を取り上げ,学校側と農地を提供している地域側双方から実態調査と意識調査を行った。小学校では学校農園の意義を高く評価し,農地が有効に活用される点以外にも,農園活動が地域を巻き込んだ取組みへ発展している波及効果も確認できた。これは学校農園が農村地域の活性化のための起爆剤となりうることを示唆している。課題としては,予算的・時間的な制約で学校単独での実施が困難であり,農地の提供以外に支援農家の人的・物的協力が不可欠である。農家にかかる負担の軽減策として,金銭的手当が可能となる工夫や地域が学校農園を支える仕組みづくりなどの検討が必要なことを明らかにした。 さらに武山は景観形成やバイオマスエネルギー生産を目的とした菜の花栽培による農地活用の概要をまとめた上,具体的事例として兵庫県五色町の取組みのプロセスとシステムの有効性を検証した。その結果(1)菜の花栽培を通じて,地域づくりの中で水田を食料生産以外の目的で利用したことや,労働粗放的利用による農地管理を実施できたことにより,農地管理への多様な主体の参加や多様な資金の活用が実現されていること,(2)地域づくりが多目的化し,その結果として水田利用目的が多様化するというプロセスにより,新たに水田の多面的役割が開発・強化されていること,の2点を明らかにした。
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