2005 Fiscal Year Annual Research Report
温暖化気候変動が落葉果樹の休眠と生育に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
14560215
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Research Institution | UTSUNOMIYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
本條 均 宇都宮大学, 農学部, 教授 (70282382)
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Keywords | 気候温暖化 / 落葉果樹 / 休眠現象 / 花芽異常 / 植物環境生理学 / データベース / ブラジル / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究は,冬季の温暖化による影響が発現しやすいニホンナシを対象に行った。 1.冬期の温暖化に伴う花芽異常の発生限界条件の解明 (1)ブラジルでの花芽異常発生に関する現地調査 2005年9月に現地の被害発生園を海外共同研究者と合同調査を実施した。2005年も低温遭遇時間が不足し,ブラジルで低温遭遇時間が最も長いサンジョアキンでさえ,平年値(766時間)の75%程度であり,休眠打破剤の使用時期と濃度についてに栽培農家の質問が集中した。調査の結果,休眠打破剤の使用適期は,自発休眠の覚醒モデルから判断して,必要な低温遭遇時間の5〜7割に遭遇した時であり,これは次に述べる我が国での再現試験時に花芽異常発生防止処理が有効になる生育ステージに一致していた。 (2)花芽異常の再現試験 野外で不十分な低温遭遇時間を与えた鉢植え樹「幸水」,「豊水」を用いて,花芽異常の再現と高温ストレスを利用した抑止技術の検討を行った。自発休眠覚醒に必要な低温要求量の品種間差が,花芽異常の発生程度にも大きく影響し,かつ抑止効果の高くなる時期にも関係していた。 (3)開花その他生態情報データベースの構築 全国規模での過去30年間の落葉果樹の開花や収穫日に関するデータを解析することにより,地域性や樹種・品種毎の特徴を明らかにするとともに,収集整理を行った生態資料のデータベース化に取り組んだ。開花から幼果の期間の温度経過が,「幸水」などの早生と「二十世紀」や「新高」などの収穫時期に及ぼす影響が異なり,果実の生育期間のモデル化には盛夏期の高温の影響評価が重要であると推定した。国内外の関連学会において,発表を行った。 2.冬期の低温量不足に対応した制御技術の開発 水の気化熱を利用した冷却法と長波放射の制御資材を組み合わせることにより,積極的に樹体温の低下を図ることで,環境負荷が少なく,かつ省エネルギーである休眠開花の制御技術の基礎部分は開発し,既に学術雑誌に掲載された。気化熱+多機能資材の組み合わせに加え,ヒートショック処理による花芽異常発生防止効果が検証でき,さらに実用的な制御法の開発を進めている。
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Research Products
(5 results)