2002 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸ガス固定型バイオガス変換システムにおけるプロセス特性の解析
Project/Area Number |
14560216
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
北村 豊 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (20246672)
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Keywords | バイオガス変換 / 二酸化炭素固定 / ガス基質 / 溶解度 / 低温バイオガス発酵 |
Research Abstract |
バイオガス変換システムは、酢酸を基質とする経路と水素を基質とする経路の2つバイオガス生成過程を有している。特に後者経路では水素による二酸化炭素の還元反応が行われることから、温室効果ガスの削減あるいはバイオガス精製等を達成する目的で、二酸化炭素固定型バイオガス変換の特性解明や装置化が求められている。本研究では、水素/二酸化炭素を基質とするバイオガス変換システムについて、ガス基質の供給速度やエアレーション等の操作条件が基質消費・バイオガス生成および菌体増殖の特性に及ぼす影響を実験的に解明することにより、二酸化炭素固定型バイオガス変換システム設計・開発のための基礎資料を得ることを目的とする。 本年度は、完全混合型リアクタ(塩ビ製)、エアレーション部、ガス基質(水素と二酸化炭素を容量比4:1の組成に調整)供給部、リアクタ温度調節部により構成されるベンチスケールバイオガス変換システムを構築した。リアクタは水封式のガス一時貯留ホルダと一体化し、ホルダに供給された基質ガスをエアレーション部経由でリアクタ液相部に注入・循環する方式とした。またリアクタの内容物に水を用い、注入・循環させるガス基質の温度(水温以上)や流量がリアクタの温度変化に与える影響を検討した。その結果、リアクタのガス噴出部から水面までの距離は、ガス基質とリアクタ水が熱交換を行うのに十分であったことが確認された。また、ガス一時貯留ホルダ部のガスはリアクタ水温度の飽和蒸気と等しい潜熱ならびに顕熱を有していること、注入・循環ガスからリアクタ水への熱伝達率は約60%と非情に高いこと、等が分かった。一般にガスの液相への溶解度は温度と逆比例することやガス基質の溶解増加がバイオガス変換菌とガス基質との接触効率向上に有効であること等を考慮すると、ガス基質の冷却処理と低温バイオガス発酵の採用がバイオガス変換システムによる二酸化炭素の固定効率向上に有効であることが推察された。
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