2003 Fiscal Year Annual Research Report
REA法によるメタンフラックス長期連続測定装置の開発
Project/Area Number |
14560218
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
鱧谷 憲 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 講師 (30264815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 高司 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20208838)
文字 信貴 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (20111982)
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Keywords | 地球温暖化 / 温室効果ガス / 森林 / メタンフラックス / REA法 / 長期観測 |
Research Abstract |
REA法による森林メタンフラックスの長期連続測定装置を開発し,森林での試験観測を行った。この装置は最新のマイクロコンピュータを使って装置を稼動させ,自動的にフラックスの測定を行うものである。これらサンプリング装置や複数のコンピュータシステムのハードウエアー,ソフトウエアーは測定条件や測定上の具体的な問題点にあわせて作成した。ガス分析計には検出器がFIDのものを用いた。この分析計の測定精度は±50ppbであった。しかし,REA法では2つのサンプリング空気の濃度差が測定量になるので,このときの濃度差の測定精度は数ppbとなり僅かなフラックスの測定も可能となった。観測前にこの装置と同じ構造のものを用いてCO_2フラックスについて渦相関法とREA法による測定を同時に行い比較検討した。この結果,両測定値は驚くほど良く一致した。長期間の測定ではガス分析計の検出器に使用するガスの補給のみならず測定機器の検定,装置の思いもかけないトラブルなどがあり,1〜2週間に1回程度の保守作業が必要であった。しかし,装置は比較的順調に稼動し,森林のメタンフラックスの長期的な変化が次第に明らかになってきた。9月のメタンフラックスの測定では日中の輸送方向は下向(吸収)に、夜間にはほぼゼロになり,深さ1cmの地温とフラックスを較べると気温12℃まではゼロで,それより気温が高くなるとメタンの輸送方向が下向になった。しかし11月には地温が12℃以上になってもフラックスはゼロでこの期間のフラックスは常にほぼゼロとなった。このことは土壌水分も関係していると考えている。9月には晴天日が続いたので,林床の土壌水分も少ないと考えられる。このときには土壌中のメタン分解菌の活動が活性化されて,地温上昇によりメタンの分解が進み大気から林床にメタンが取り込まれたと考えられ,11月には気温の低下と降雨日が多いことによりメタン分解菌の活性が見られなかったと考えられる。
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