2004 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥加熱法を用いたリン酸化による卵白タンパク質の多機能化
Project/Area Number |
14560226
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
青木 孝良 鹿児島大学, 農学部, 教授 (70034460)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
イブラヒム ヒッシャム R. 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90274836)
井上 祐一 鹿児島大学, 農学部, 助手 (20284911)
|
Keywords | リン酸化 / 乾燥加熱 / 卵白タンパク質 / ピロリン酸 / 脱リン / ホスファターゼ / NMR |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、卵白タンパク質のピロリン酸塩溶液(pH4.0)を乾燥加熱後、85℃で5日間乾燥加熱すると、そのリン含量が1%以上になり、乳化特性、熱安定性、ゲル形成性、などの機能特性が著しく向上することおよびリン酸カルシウム可溶化能が付与されることが明らかになった。 本年度は、乾燥加熱によるリン酸化の機構を明らかにし、さらにリン酸化卵白タンパク質の食品機能を調べた。オボアルブミン、オボトランスフェリン、リゾチームのほかに、a-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、プロタミン、ヒストン、ポリL-リジンなどをpH4.0,85℃で1日間乾燥加熱してリン酸化したところ、糖を結合していない酸性タンパク質のリン含量は著しく低かったが、リゾチーム、プロタミンなどの塩基性タンパク質のリン含量は1%以上になり、塩基性タンパク質はリン酸化されやすいことが明らかになった。また、ポリL-リジンのリンが含量は10%以上にもなった。リン酸化リゾチームやポリL-リジンのリン酸基はアルカリ性ホスファターゼにより約80%が脱リンされた。これらのリン酸基は酸で加水分解されやすく、アルカリでやや脱リンされ難かった。また、^<31>PNMRの結果からN-P結合が示唆された。これらのことから、リン酸塩存在下での乾燥加熱によりリン酸エステル結合以外にN型のリン酸結合が導入されることが明らかになった。 マウスから脾臓細胞分離して、リン酸化卵白タンパク質のマイトジェン活性を調べたところ、カゼインホスホペプチドよりはやや活性が低かった。リン酸化していない卵白タンパク質にはこのような活性がなかったことから、リン酸基がマイトジェン活性に関与していることが示唆された。 これの結果から、卵白タンパク質をピロリン酸塩存在下で乾燥加熱すると、熱安定性や乳化特性などの食品加工特性だけでなく、カルシウム吸収促進機能や免疫調節機能も付与される可能性が示唆された。
|
Research Products
(1 results)