2002 Fiscal Year Annual Research Report
グレリンによる反芻家畜の新しい成長ホルモン分泌支配機構の解明
Project/Area Number |
14560230
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
橋爪 力 岩手大学, 農学部, 助教授 (60124533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 宏明 岩手大学, 農学部, 助教授 (20196306)
粕谷 悦子 農業生物資源研究所, 生体機能研究グループ, 研究員
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Keywords | グレリン / GH / 成長ホルモン / ウシ / ブタ / ヤギ |
Research Abstract |
本年度は、グレリンによる反芻家畜の新しいGH分泌調節機構の基礎的知見を得るために、主としてインビトロ系による実験を行った。すなわち、ウシの下垂体前葉細胞を用いてグレリンによるGH放出の直接作用や、GHRHとの放出能差、グレリンとGHRHによるGH放出の相互作用、ソマトスタチンによる抑制作用等について検討した。また、ヤギやウシを用いて次年度以降の実験を進めるために必用なインビボでの予備実験も行った。 ホルスタイン種去勢牛から採取した下垂体前葉を細胞分散したのち、3日間培養して次の実験を行った。初めに(1)10^<-7>〜10^<-13>Mのヒト、ラットのグレリンとGHRHを細胞に2時間作用させ、GH放出能を比較した。次に(2)10^<-8>MのヒトグレリンとGHRHをそれぞれ細胞に添加し、経時的に培養液中のGH濃度の変化を比較した。最後に(3)10^<-8>MヒトグレリンとGHRH(10^<-8>M又は10^<-10>M)を単独あるいは同時添加した場合、さらにこの系に10^<-7>Mソマトスタチン(SS)を添加した場合のGH濃度の変化を比較した。またブタの下垂体前葉細胞を用いた実験も同様に行い、動物種による差も検討した。その結果、(1)ヒトとラットのグレリンはそれぞれ10^<-10>Mおよび10^<-9>MまでGHを放出させたのに対し、GHRHは10^<-13>MまでGHを放出させること、(2)培養液中GH濃度の上昇割合は30分まではグレリンとGHRH間で差は見られないが、その後はGHRHの方が高くなること、(3)グレリンとGHRHを同時添加するとGH放出は単独添加時より高くなる傾向が見られ、両ペプチドによる有意な相加効果はSS存在下で見られることが明らかになった。(4)またこれらの結果は作用濃度や相加効果に若干の違いはあるものの、ブタとほぼ一致することも分かった。 インビボにおける予備実験からは、ヤギの頚動脈内にグレリンを3μg/kgBW投与すると末梢血中のGH濃度が上昇すること、またウシの視床下部内に10nM/200μlのグレリンを投与すると末梢血中のGH濃度は急激に上昇することが明らかになった。
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Research Products
(1 results)