2002 Fiscal Year Annual Research Report
減数分裂期に卵母細胞特異的に発現を開始する新規遺伝子c-1の機能解析
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14560234
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 直治郎 京都大学, 農学研究科, 助手 (30212236)
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Keywords | マウス初期胚 / 卵母細胞 / 卵子特異的 / 遺伝子発現 / 胚ゲノム活性化 / 転写因子 |
Research Abstract |
本研究では15.5日齢の胎仔マウスの卵巣で発現が始まる新規遺伝子について解析を行った。この遺伝子は1485bpの遺伝子からなり、1194bpの翻訳領域を持ち398個のアミノ酸からなるタンパク質をコードしている。ノーザンブロッティングの結果から、この遺伝子は卵巣特異的に発現し、In situハイブリダイゼーション実験の結果から、卵巣内のすべての時期(原始卵胞-胞状卵胞)の卵胞内卵母細胞で特異的に発現していることが明らかとなった。また、この遺伝子の発現は胎児期の15.5日齢の卵巣で開始し、受精後の4細胞期まで持続することが明らかとなった。この遺伝子がコードするタンパク質のそのアミノ酸配列を解析した結果、アミノ酸202-224の部位にロイシンジッパー構造を持ち、137-326の部位にロイシンリッチドメインを持つことが判明した。これらのことから、このタンパク質が他のタンパク質と結合して転写因子として作用する可能性が示唆された。このタンパク質に対する抗体を作製し、ウェスタンブロッティングおよび免疫組織染色を行い、このタンパク質の発現開始時期や発現部位について検討した。この遺伝子産物は分子量46kDaのタンパク質をコードし、卵巣内のすべての時期の卵胞内卵母細胞で特異的に発現し、受精後の4細胞期までの卵子で強い発現を示し、桑実期/胚盤胞期の胚ではその発現が極端に減少することが明らかとなった。 また、排卵MII期の卵母細胞および1細胞期から胚盤胞期の初期胚についてこの遺伝子の発現を調べた結果、この遺伝子が2細胞期の初期に核内に移行することが示され、この時期に転写因子として、初期胚の発生に何らかの役割を果たしていることが示唆された。このことは、現在までに報告されているいくつかの母性効果遺伝子と非常によく似た発現パターンを示していることも明らかとなった。今後は、遺伝子の機能を阻害することによって詳細な機能を調べるとともに、このタンパク質と相互作用する物質を同定することによって、初期胚における転写調節や胚ゲノムの活性化との関連について分子レベルで解析する。
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