2003 Fiscal Year Annual Research Report
リジン欠乏に対する鶏の初期摂食応答における食情報とその伝達
Project/Area Number |
14560244
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
菅原 邦生 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50091947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 秀幸 宇都宮大学, 農学部, 教授 (70091949)
杉田 昭栄 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50154472)
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Keywords | リジン欠乏 / 飼料摂取量 / 梨状葉皮質 / 原線条体 / γアミノ酪酸 / 鶏 |
Research Abstract |
本研究計画では,血漿アミノ酸濃度の食情報としての意義とその伝達を明らかにすることを目指しているが,今年度は血漿アミノ酸濃度の変動そのものが脳内神経核のアミノ酸濃度に及ぼす影響を調査した。21日齢鶏ヒナに対照飼料とリジン欠乏飼料を2時間不断給与したのち、静脈血と脳を採取し,アミノ酸を定量した。血漿中のアミノ酸濃度の変化は昨年度と同じ様相、すなわちリジン濃度は約1/10に減少したが,ほかのアミノ酸濃度は変化しなかった。脳の梨状葉皮質、視床下部、大脳皮質におけるリジン濃度は1/2に減少し,アルギニン濃度は2倍に増加した。この反応は脳へのアミノ酸取り込みにおいてリジンとアルギニンの間に拮抗が存在することを示唆するものである。なお、神経伝達物質(エピネフリン,ヒスタミン)の前駆体であるチロシンとヒスチジン濃度に変化はなかった。調査した脳部位における変化は一様であり,必須アミノ酸欠乏飼料による摂食量減少に関連があると考えられている梨状葉皮質あるいは飼料摂取量調節に一義的に関連する視床下部に特徴的な反応は見られなかった。この減少が2〜3時間後の飼料摂取量減少を誘導するかいなかを来年度調査する。 飼料リジン含量が要求量の1/2に相当する飼料(不足飼料)を7から13日齢まで7日間給与した時の視床下部,原線条体におけるカテコールアミンとアミノ酸含量を調べた。7日間の飼料摂取量は約6割に減少した。両部位におけるリジン含量は検出できないほどに減少したが、視床下部のチロシン含量は増加した。この増加はこれまでには観察されておらず、さらに調査する必要がある。カテコールアミン含量は不足飼料給与によっても変化しなかったが,原線条体のγアミノ酪酸とグルタミン酸含量が減少した。これらの反応はリジン不足によって飼料摂取量が減少した状態ではチロシン,γアミノ酪酸とグルタミン酸の動態が関与していることを示唆するものである。
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Research Products
(1 results)