2004 Fiscal Year Annual Research Report
イヌ腫瘍における抗癌剤耐性の獲得とβ-チューブリン・アイソタイプ変換との関連性
Project/Area Number |
14560247
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Research Institution | National University Corporation Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
新井 克彦 国立大学法人東京農工大学, 農学部, 助教授 (60175940)
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Keywords | β-チューブリン / 抗癌剤 / ビンカアルカロイド / 腫瘍 |
Research Abstract |
本年度は、イヌ腫瘍における抗癌剤耐性の獲得とβ-チューブリン・アイソタイプ変換に関連する転写因子を検索するための予備検討として、B16F10株のビンクリスチン耐性獲得メカニズムを詳細に検討した。マウスゲノムDNAよりクラスIIβ-チューブリンのプロモーター領域を含む遺伝子を、ホタル・ルシフェラーゼをレポーター遺伝子に持つプラスミドベクターにクローニングし、ビンクリスチン反応性領域を検索した。クローニングされた遺伝子は、第1エクソンの上流約1キロベース(クローン1)、700ベース上流(クローン2)および350ベース上流(クローン3)から、第1エクソンの下流80ベースまでの領域であった。これらのサイズの異なる3つのクローンについて、B16F10株へトランスフェクションを行い、次いで、ビンクリスチンを暴露した後のルシフェラーゼ活性の変化を観察したところ、これらすべてのクローンにおいて、活性の上昇が確認されたため、最短クローンであるクローン3内に、ビンクリスチン反応性領域の存在することが判明した。転写因子結合モチーフの検索の結果、数カ所のSp1結合領域に加えて、2カ所のCREB結合領域が見いだされた。これらの結合領域を標的として、種々のdeletion mutantおよびpoint mutantを作製して、ビンクリスチン耐性に関わる遺伝子調節領域を検索したところ、第1エクソンの上流域および下流域に複数のクラスIIチューブリン遺伝子の転写調節領域が存在することが示唆された。さらに、耐性株で上昇する可能性のある転写因子についてはゲルシフトアッセイにより同定を試みたところ、第1イントロン内に存在するCREB結合領域に結合する転写因子が、ビンクリスチン暴露に伴って激減することが判明した。一方、CREBドミナントネガティブ変異体のトランスフェクションおよびJun N-terminal kinase(JNK)阻害剤暴露により、クラスIIβ-チューブリンの基本転写活性が上昇した。以上の結果より、クラスIIβ-チューブリンの転写制御にはCREBの関与が示唆された。
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