2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14560253
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Research Institution | RAKUNO GAKUEN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
及川 伸 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (40295895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹花 一成 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (80137413)
遠藤 大二 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (40168828)
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Keywords | ウシ / 脂肪肝 / 超低比重リポタンパク質 / アポリポタンパク質 / TNFα / 発生機序 |
Research Abstract |
乳牛における脂肪肝は各種周産期疾患の発生に密接に関わる病態であり、その予防の重要性が指摘されている。本研究では、実験的脂肪肝牛を用いて、脂肪肝の発生機序を検討した。脂肪肝の誘導には、4日間の絶食試験(成牛n=5、昨年の追試)とエチオニン投与試験(n=7)の2つを実施した。また、野外例として、非常に珍しい巣状性脂肪肝(n=1)についても検索した。 絶食試験: 1.4日間の絶食という負のエネルギーバランスにより脂肪肝が誘導された。肝臓の脂肪化に伴い門脈血中の遊離脂肪酸は著増したが、肝静脈への超低比重リポタンパク質の分泌は低下した。また、肝臓における門脈血からの総胆汁酸の抽出能は低下した。 2.肝臓の脂肪化に伴い類洞内皮下基底膜の肥厚、星細胞数の減少が認められた。また、肝組織中のTNFαが明らかに増加した。血清ApoB-100濃度は、絶食終了後低下したが、ApoC-III濃度の明らかな変化は見られなかった。 エチオニン試験: 1.肝臓の脂肪化とともに血清ApoB-100とApoC-III濃度は低下したが、両者の変動パターンは、調節機構の違いによると思われる明らかな相違が認められた。 2.血清ApoC-III濃度と肝臓におけるApoC-IIIのm-RNAの発現は一致していた。 野外例: 1.野外例として遭遇した巣状性脂肪肝(FFL)の病変部は、門脈の周囲に局在しており、周囲血管の栓塞は認められなかった。AST活性値と総ビリルビン濃度が上昇していた。本症は、分娩前後において負のエネルギーバランスによって発生する一般的な脂肪肝と違う特殊なケースであり、エンドトキシン等の関与が考えられた。 以上より、脂肪肝の発生は、遊離脂肪酸の著増、肝臓の超微形態学的な変化、TNFαの発現、アポリポタンパク質の低下等が関与していることが示された。なお、FFLのような特殊な例も存在することがわかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tharwat Mohamed: "Focal Fatty Liver in a Heifer : Utility of Ultrasonography in Diagnosis"J.Vet.Med.Sci.. 66. 341-344 (2004)
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[Publications] Atsushi Nitanai: "Decreases in Serum Apolipoprotein C-III Concentration in Cows with Ethionine-Induced Fatty Liver"J.Vet.Med.Sci.. (in press). (2004)
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[Publications] 小川美希: "ウシ血清中ビタミンA濃度と肝臓星細胞の相関"日獣会誌. (in press). (2004)