2002 Fiscal Year Annual Research Report
培養軟骨細胞移植における動物モデルの確立およびヒアルロン酸投与の効果
Project/Area Number |
14560261
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
望月 学 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90261958)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 亮平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80172708)
|
Keywords | 軟骨 / ヒアルロン酸 / 変形性関節症 |
Research Abstract |
当初ヒツジを用いた軟骨細胞採取、培養、移植の実験計画を考えていたが、コンスタントな入手が困難であることおよび持続的な管理に大きな負担が伴うことがネックとなったため、入手と管理の容易なビーグル犬を用いて予備実験を行った。 まず安楽殺したビーグル犬の膝関節軟骨を採材し、コラゲナーゼ処理後FBS中で培養可能であることを確認した。ついでビーグル犬の膝関節での関節鏡操作を試みた。しかしながら関節サイズの大きさから十分な器具操作をする空間的な余裕がなく、移植に十分な関節軟骨の採材は不可能であった。したがってイヌにおける軟骨移植術は技術的にきわめて困難であることが推察された。このため培養軟骨細胞移植におけるヒアルロン酸投与の効果を検討する当初の目的を、イヌの変形性関節症に対するヒアルロン酸静脈内投与の効果の検討に変更することとした。 ビーグル犬の右膝関節前十字靭帯を外科的に切断し、無処置群・ヒアルロン酸関節内投与群・同静脈内投与群にわけた。術後2週目より週に1回、3回のヒアルロン酸投与を行なった。4週ごとに関節液の採取を行ない生化学的検索に供した。12週目に安楽殺を行ない、膝関節の肉眼的・組織学的検索を行なった。 その結果、ヒアルロン酸静脈内投与群において肉眼的および組織学的評価から軟骨破壊の有意な抑制効果がみとめられた。また関節内・静脈内投与両群において、術後4週目に関節液中コンドロカルシン濃度の有意な上昇が認められ、軟骨修復の促進が示唆された。以上の結果からヒアルロン酸静脈内投与はイヌの変形性関節症を抑制しうる可能性を持つことが示唆された。
|