2003 Fiscal Year Annual Research Report
イヌにおけるシトクロムP450阻害薬による動態学的薬物間相互作用の評価
Project/Area Number |
14560262
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
下田 実 東京農工大学, 農学部, 助教授 (50154323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 俊樹 日本生物科学研究所, 主任研究員 (00162214)
小久江 栄一 東京農工大学, 農学部, 教授 (50014965)
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Keywords | CYP1A阻害 / CYP3A阻害 / ニューキノロン / ケトコナゾール / ミダゾラム |
Research Abstract |
1.オフロキサシンのCYP1Aおよび3A阻害作用 ビーグル犬にオフロキサシン5mg/kgを単回あるいは3日間経口投与し、テオフィリン(CYP1A基質)およびキニジン(CYP3A基質)の体内動態に対する影響を検討した。オフロキサシン処置によって、テオフィリンの消失半減期の有意な延長と、全身クリアランスの有意に増加は認められ、CYP1Aを阻害した。この阻害が可逆阻害によるのか、非可逆阻害によるのかを明らかにする目的で、オフロキサシンと同程度の可逆阻害を示すが、非可逆阻害を示さないノルフロキサシンを3日間経口投与し、テオフィリンの体内動態への影響を検討した。テオフィリンの消失半減期と全身クリアランスはいずれも影響を受けなかった。この結果から、オフロキサシンのin vivoでの阻害効果は非可逆阻害によるものと考えられた。一方、オフロキサシンはキニジンの体内動態に対してはほとんど影響を与えなかった。以上から、CYP1Aに対する阻害作用だけが臨床での薬物間相互作用として考慮すべきと考えられた。 2.薬物の肝組織移行性に関する試験 ラットの肝スライスを用い、強力なCYP3A阻害作用が明らかであったケトコナゾールと、CYP3A基質であるミダゾラムの肝組織移行性を検討した。いずれの薬物も能動輸送による蓄積を示さず、受動拡散によって肝細胞に取り込まれた。この結果、血漿中の遊離型濃度と肝臓中の遊離型濃度が等しいと仮定し、得られた数式とin vitroの実験で得られたミカエリス定数および阻害定数を用い、ミダゾラムの全身クリアランスへの影響を解析した。得られた結果は、前年度にin vivoで得られたミダゾラムの全身クリアランスに対するケトコナゾールの阻害作用と同程度であった。以上から、in vitroの実験で得られるミカエリス定数および阻害定数からin vivoでの阻害効果が可能であった。
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