2003 Fiscal Year Annual Research Report
我が国における新興感染症としてのエーリキア種の検出と分子系統学的調査
Project/Area Number |
14560272
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
村松 康和 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (50254701)
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Keywords | 新興感染症 / エーリキア / マダニ |
Research Abstract |
沖縄県慶良間諸島の阿嘉島(ケラマジカ生息地)で1999年10月に採取した75匹、および2003年4月に採取した70匹のHaemaphysalis属マダニ145匹と2003年8月に神奈川県小田原市でハタネズミに帰省していたH.flavaを含むマダニ25匹についてMM-300破砕機で破砕後、キットを用いてDNAを抽出した。得られたDNAについてECC-ECBのプライマーセットを用いてPCRによるエーリキア属菌のDNA検出を試みた。PCRの結果、陽性は阿嘉島のHaemaphysalis属マダニで145匹中20匹(陽性率:13.7%)、小田原市のマダニでは25匹中4匹(同:16%)であった。これらPCR陽性産物についてキットを用いて精製し、ダイレクトシークエンスを行った。その結果、全てのPCR陽性産物においてエーリキア属菌と近縁のものは認められず、Wolbachia属、あるいはSphingomonas属と近縁のものが検出されたことがわかった。以上の結果から、阿嘉島ではエーリキア属菌の侵淫度は非常に低いものと考えられた。沖縄本島の特に南部では旧エーリキアであるAnaplasma platysが検出されており、欧米ではシカはエーリキア属菌の有力な保菌動物となることが知られているが、阿嘉島の生態系への侵入は未だ成立していないのかもしれない。同様に小田原市においてもエーリキア属菌の侵淫度は低いものと考えられた。今回、小田原で得られた検体は少なかったので、そのことも今回の結果に影響していると考えられた。
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