2002 Fiscal Year Annual Research Report
野生動物を汚染指標とする人獣共通寄生虫症に関する研究
Project/Area Number |
14560273
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
野上 貞雄 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90172767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎橋 孝 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (30328710)
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Keywords | Cryptosporidium / Flea / Lice / Rickettsia / Sarcoptes / Tick / Toxoplasma / Zoonosis |
Research Abstract |
本研究では、野生動物を人獣共通感染症の汚染指標のための囮動物として位置付け、それらにおける感染様相の把握を平成14年度の課題として研究を行い、以下の成果を得た。 1.タイワンリス:神奈川県鎌倉地域を中心に野生化している移入種のタイワンリスの95頭(雄46頭、雌49頭)について、以下の検討を行った。(1)トキソプラズマ感染:血清の入手が可能であった75頭についてラテックス凝集反応で検討を行った結果、全例陰性(抗体価32倍以下)であり、野生動物としては極めて特別な集団であることが分かった。(2)クリプトスポリジウム感染:糞便材料の入手が可能であった20頭について蔗糖遠心浮游法および抗酸染色法によって検討を行った結果、4頭からオーシストが検出された。現在、種別や型別の解析を行っており、市民や動物愛好家に対する啓蒙の資料としても活用したい。(3)消化管内蠕虫感染:材料の入手が可能であった41頭について、各種寄生虫検査法および剖検によって検討を行った結果、全例陰性であり、野生動物としては極めて特別な集団であることが分かった。(4)外部寄生虫感染:タイワンリス体表からダニ8個体、ノミ12個体、シラミ47個体が収集され、現在、種別や病原体媒介に関する検討を行っている。 2.タヌキ:神奈川県を中心に保護収容されたタヌキについて(雄70頭・雌44頭)について、以下の検討を行った。(1)トキソプラズマ感染:血清の入手が可能であった114頭についてラテックス凝集反応で検討を行った結果、陽性(抗体価64倍以上)個体は21頭(15・2%)であり、高い陽性率と高抗体価保有個体が多いことが分かった。(2)疥癬:25頭以上がヒゼンダニに高濃度感染していた。 また、194頭のアライグマについて、野兎病、ブルセラ病、紅斑熱、恙虫病、トキソプラズマ病等の血清疫学を実施しており、設備費購入のクリオスタットは研究のために効率よく使用されている。
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Research Products
(1 results)