2002 Fiscal Year Annual Research Report
線維解析に基づく横隔神経群の形態形成学的研究と臨床的応用の検討
Project/Area Number |
14570004
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
熊木 克治 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20019574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 了 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30313513)
宮脇 誠 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40293211)
千葉 正司 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40003652)
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Keywords | 横隔神経 / 副横隔神経 / 鎖骨下筋神経 / 頚神経ワナ / 鎖骨下静脈 / 末梢神経 / 神経線維解析 / 肉眼解剖学 |
Research Abstract |
2002年度実習解剖体の調査で1)主横隔神経(C3,4,5)の構成は多様で、特に鎖骨下静脈の浅層を走るものを副横隔神経として注目すると、すべてC5またはC5,6に由来する分束と判明した。副横隔神経はその約1/2で鎖骨下筋神経と共通幹を形成する。なお鎖骨下筋神経は通常鎖骨下静脈の浅層を走るが、1例のみは逆にこの静脈の深層を走る貴重な例を認めた(副鎖骨下筋神経)。主横隔神経がC3,4あるいはC4由来の34例中、副横隔神経の存在するものは20例に及び、特にその中の2例では副横隔神経のみという特殊例であった。一方主横隔神経がC4,5由来の16例中、副横隔神経の存在は1例のみにすぎない。このような主横隔神経の構成分節の変化と副横隔神経、副鎖骨下筋神経などの出現との特徴的な関係は、末梢神経の束構成の原則のひとつを示している。起始根と分布の要素が定まり、途中経路が鎖骨下静脈などの多様な要因の影響を受けた「あや取り変化」の結果であると考えたい。さらに線維解析で1分節以下の小変化をもとらえて解明したい。2)頚神経ワナの変化は内頸静脈と関連して内側型33例、外側型22例で内側型の頻度が高いことが判明した。上根と下根で構成されるワナは腹直筋とそこに至る肋間神経とに対比できることが、多数例の分析と特殊例の検討、内側型・外側型の比較解剖によって明らかにできた。頚神経ワナと横隔神経との間の共通連続変化の特徴は起始根がいずれも最腹側層の成分で構成されていることで証明される。なお、上根に関連してXIIとC1,2との束形成は一様ではなく、強弱、疎密の変動が認められる。線維解析を進め、両神経の束(叢)形成の状況を分析し、XII神経の帰属、(舌下)頚神経ワナの定義に関しての検討を前進させたい。 この研究実績に関連する発表と討論の記録は次のとおりである。 1)特別講義:頭頸部を考える (胴体・体節として、頭・内臓としての特徴と意義)金沢医科大学、2002.9.19 2)第18回形態科学シンポジウム:生体の構造と形態形成の解明-肉眼から分子のレベルまで 日本学術会議第18期解剖学兼連2002.10.5 3)第3回顎顔面領域における臨床解剖コース:頸も胴体である 日本歯科大学新潟歯学部2002.10.5-6
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Research Products
(1 results)