Research Abstract |
2004年度解剖学実習体27体について調査.頚神経ワナの構成について,その起始,走行(経路),分布について総合的に分析. 頚神経ワナの上根は舌下神経XIIから下根は頚神経に由来.両者とも迷走神経Xなどと癒合,交通や窓や網の形成もなく,単純なワナを形成して舌骨下筋群を支配.標準的な単純なワナ形成のものが23側に認められた.内頚静脈との位置関係は内側型が20側、外側型が3側であった.根の構成を観察,分析すると1)C2,C3構成が12側、うち2側は頚神経ワナが単純なワナ形成に加え,末梢部で網状あるいは窓状の交通を形成.2)同じC2,C3構成でも頚神経ワナのループが著しく大きいものを3側区別し,うち1側では類似の網や窓の形成を伴う.3)同じC2,C3構成で外側型は3側に認め,うち1側は窓の形成が存在するが,大きいループは形成しない.4)次に根構成がC2,C2,C3のものが2側(内側型)に認められ,うち1側は網や窓を形成.5)さらにC2,C(3)で構成される1側(内側型)を認め,窓や網などは作らない.6)またC3のみから成るものを1側(内側型)認めた.7)最後にC2,C3,C4から成る1側では唯一C3由来の下根とXに交通を認める特殊例である. 一方,頚神経ワナの上根、XIIまたは下根,頚神経ワナの末梢部分がXIと癒合,交通する群について検討.頚神経ワナの下根の構成は再びC2,C3からなるものが多く12側を観察する.XIIととの癒合の仕方や程度は多様である.1)XIIからの上根が複数であったり(2側),2)XIIからの成分がXと癒合したのち,上根となるもの(2側),3)外見的にはXから上根が分岐しているもの(4側)4)さらにXIIとXの両方からの成分が上根にかかわる例も認める(4側).同時に頚神経ワナの末梢で窓や網を形成しているものもある(5側).また下根あるいは頚神経ワナの末梢部分でXと癒合する例も多い(5側). その他下根の構成根分節は多様であるが、5)C2,C2,C3,C4の各1側で上根がXIIから複数由来.6)C2,C3,C4の1側XIIがXと癒合したのち上根を構成する.ワナの末梢の枝とXの交通も認める.7)C2,C3 2側,C(2),C3,C? 3側の外側型の頚神経ワナではXII,X由来の上根が共存しており,末梢でのXとの交通や,小窓の形成もある. 特に後段で報告したXIIやCがXと癒合交通を形成する問題が神経線維解析によって解析される.その本体は両者は仮性吻合であり,XIIとC(胴体,体幹)とX(内臓)は区別ができること,しかもXIIとCは密接な関係があり両者をあわせてPlexus hypoglossocervicalisと称することが妥当であると主張したい. この研究実績に関連しての発表と討論の記録は次の通りである. 1)特別講義:上腸間膜動脈の分岐様式から腸管の発生と回転を知る(腹腔動脈と上腸管動脈の局所解剖学)金沢医科大学2004(16).5.24 2)特別講義:腋窩の動脈と神経の形態形成学(上肢の動脈の通り道)岐阜大学医学部2004(16).9.28 3)特別講議:胴体としての下腹壁を再考する(脊髄神経のズレについて説明解剖学)鹿児島大学歯学部2005(17).1.28
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